clever

次の日、仁比山さんから動きがあったと放課後、連絡があったのでメンバーを全員集めることにした。

「犯人が分かった、ただ動機が俺には分からない……」

 そういって生徒会室に置いてあるテレビに映像が映し出される。

「そんな……、嘘でしょ? 」

 七緒が映像を見てショックを受けている。無理もない、今回の犯人は友人だと思っていた同じクラスの【如月 早苗】が映っていたのだから……。


 時は遡ること1日前、俺は仁比山さんに、あるお願いをしていた。

「この盗撮カメラを起動させて、元の場所に戻しておいてもらえないかな? それと設置した盗撮カメラが映るようにもう一つ盗撮カメラを設置してほしい、そろそろ盗撮カメラの様子を犯人が見に来ると思うから……」

 そういって買っておいた超小型の高精度カメラを仁比山さんに渡す。

「本当に来るのですか? 確かに明日は七緒ちゃんたちの授業がある日ですけど……」

 そういって仁比山さんは不思議そうにしている。

「いや、俺の予想があってれば、絶対明日だよ」

 状況証拠や物証だけで動機は分からないが、ほぼ確定で犯人はあの人だから……。


 そして現在……。

「どうして? どうして早苗が盗撮なんてしていたの? 」

 校長室に移動した俺達はあらかじめ呼んでいた京極のおっさんと佐々木さん、それに楪先生に校長先生を含めた9人で盗撮犯の如月さんに事情聴取を行っている。

「どうして? 七緒は身に覚えがないの? 七緒が悪いんじゃん! 七緒は憶えてないかもしれないけど……」

 そういって如月さんは、七緒のことを睨みつける。


「動機はどうであれ、君はしてはいけないことをしてしまったって理解はしているのかな? 名誉棄損と迷惑防止条例違反に問われることになるんだよ」

そういって佐々木さんは諭すように如月さんに話しかける。

「別にそんなこと、どうでもいいわよ! この女が尻軽だって悪評が流れれば! 」

 そういわれた七緒は驚いた顔で如月さんを見つめている。

「私が好きだって言っていたのに、ヒロ君に色目を使って……。告白されて嬉しかった? 七緒に告白してからヒロ君、私から距離をとるようになって全然話してくれなくなったんだから! ヒロ君と付き合い始めたんでしょ? 生徒会があるとか言って、どうせヒロ君とイチャイチャしているんでしょ? サイテーだよ、七緒……。信じていたのに」

 どうやら痴情のもつれらしい……。

「そんなことしてない! だって私の好きな人は昔から……」

 そこまで言って何故か七緒が俺の方を振り返ってくる。


「継は少しの間、部屋から出て行ってくれるかな? 」

 俺には聞かれたくない話なのだろう、とりあえず俺は部屋から出て調理室に顔を出しに行くことにした。


【七緒サイド】


 よかった、継がすんなりと部屋から出て行ってくれた……。継には悪いけどこれから話すことは絶対に継には知られたくなかったから……。だって私は昔から継のことが……。


 さてと、校長室から出たはいいが行く場所が調理室しかない今日は何作っているのかなぁーっとその前に、このあいだ澪川さん酔っぱらっていたけど大丈夫だったか聞いておこう、アレから恥ずかしいのか少し距離感を感じるし、俺は別に気にしてないよって伝えてあげなくちゃ! 

「こんにちは……。どうしたの? 焦げた臭いがするけど……」

 そういって駆け寄ってくる澪川さんに尋ねると

「あっ、継君! お疲れ様! みんなでシュークリームを作っていたんだけど、もたもたしていたら焦げちゃって……」

 そういって恥ずかしそうに舌を出して俺を見つめてくる

「シュー生地って案外難しいんですよね……」

 そういって同じクラスの子 (確か、古嶋こじま春菜はるなさん? だったかな? )が肩をすくめてお手上げとジェスチャーをしてくる。

「レシピさえ頭に入っていて効率よく作れば大丈夫だよ。クリームは出来出るみたいだからシュー生地は俺が作ってあげるよ」

 そういって俺はシュー生地作りに取り掛かった。


 材料

  薄力粉 80g

  バター 80g

  水   160ml

  卵   2~3個


 作り方

1、 鍋に水、バターを入れ、強火にかける。 沸騰したら、あらかじめふるいにかけておいた薄力粉を一気に入れ、木ベラで手早く混ぜる。 生地がひとまとまりになるまで混ぜる。

2、 鍋を火から下ろし、鍋底を濡れ布巾の上におき、あら熱をとる。 卵を少しずつ加えて、その都度、よく混ぜる。

3、 生地をヘラですくうと、ゆっくりとボタッと落ちる固さになるように調整する。

4、 生地を絞り袋(家に絞り袋が無い場合は袋の端を切ったビニール袋などで代用も可)に入れて、オーブンシートを敷いた天板に直径7センチくらいにしぼる。

5、 オーブンの予熱無しの190度で40分焼く。(オーブンに入れる前に霧吹きで軽く生地に水をかけてください)


「焼きあがったよ」

 そういって俺はオーブンから焼きあがったシュー生地を取り出す。

「やばっ、美味しそう……。鷺ノ宮くん、女子力高すぎでしょ」

 出来上がったシュー生地を見ながら驚いた顔で古嶋さんがそういってくる。

 そんなに女子力が高いのだろうか? 確かに洗濯・掃除・炊事の一通りは出来るがコレが当たり前だと思っていたのだが改めて言われると照れる……。

【生徒会庶務の鷺ノ宮継君、至急校長室に来てください】

 校内放送で校長室に呼び出されたので俺は調理室から校長室に移動することにした。

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