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「さてと、飯でも食べに…」
「おいっ、お前、ちょっと来い」
行けないよねぇー、やっぱり朝の事、根に持ってるよねぇー。
俺は武田に先導され屋上にやって来た…。
「えっと、ついてきたけど、鍵が掛かってたみたいだけど、どうやって開けたの? それにこんなところに呼び出して何の用なのかな? 」
先導する武田に声を掛けると、いつの間にか男子生徒が10人俺を取り囲んでいた。
「用事? そんなもんねぇーよ、お前さえ居なけりゃ、俺が生徒会に入って桜庭達をみんなで無理矢理調教して俺達の物にするはずだったのによ…。邪魔しやがって…。生徒会に入らない、アイツらと仲良くしないこと、今のことを黙ってる。この約束が守れるなら1発で許してやる。それが無理なら病院送りだ…。さあどうする? 」
うわぁーっ、コイツ、思っていた以上にクズだ…。顔はバレるからマズいよね…。腹なら大丈夫かな? 相手はクズを含めて11人…。なんとかなるな。さっきの言動は念のため持ってきておいたボイスレコーダーに録音してあるからOKだろ? 本当は普通でいたいけど…。一度踏み外した道は、なかなか戻れない…けど、それが人のためになるなら喜んで踏み外そう…。
「全員相手になってやる…。踊ってやるよ、来いよ、ザコ」
「まったく、威勢が良い割にはザコなんだから…。確かに捻じ込むように腹パンしたけど君以外、みんな気絶しちゃうとか拍子抜けだよ…。それより鼻血がワイシャツに付いちゃったからクリーニング代払ってね♪ 」
そういって倒れている
「どういうことだよ…。何で俺達が倒れてお前が平気そうにしてるんだよ」
そういって立ち上がろうとするので俺は彼を押さえつけながら説明を始める。
「京都の四神って知ってる? って言っても分からないよなぁー、簡単に説明すると青龍・朱雀・白虎・玄武になぞらえて、北・南・東・西の各地域に犯罪を抑止する為の組織が形成されていて俺は、そこの
そういって俺はスマホで、ある人に電話をする。
「久しぶりだな、どうしたんだ? 」
電話口の男性が不思議そうに尋ねてくる。
「なぁ
そういうと電話口からため息が聞こえて通話が終わり、メールが送られてくる。
【メール】
俺の知り合いのメアドと電話番号を添付しておいたから東京ではそいつを頼れ
お前の叔父
そこには京極の叔父さんの知り合いで警視庁の刑事さんの連絡先が書かれていた。
「それじゃあ警察に電話しよっか? コレもあるしね♪ 」
そういってボイスレコーダーを取り出して、
「これを聞いたら警察はどっちを悪と感じるかな? 今更後悔しても遅いからね♪ 」
電話口の男性に京極の叔父さんや今の状況を伝えて、来てもらうことにした。
「京極が2年間、手塩にかけて護身術や捜査方法を教えたって言ってたけど優秀すぎるだろ…」
気絶している男11人を見て、叔父さんの知り合いで警視庁の刑事
「いや、俺もまだまだですよ…。1人だけ1発で気絶させられなかったですからね、鍛練が足りてないですね」
そんなことを話していると隣から肘鉄をされる。
「そういうことが聞きたいわけじゃないって、分かってるよね? 継君」
怒った顔で俺を見つめてくる楪先生が居る。
「まあまあ、先生もそんなに怒らないであげてください…。彼は被害者で犯罪行為を行おうとしていた予備軍を捕まえてくれたんですから」
そういって佐々木さんは、俺のことをフォローしてくれる。
「いや、まあ、確かに喧嘩をしたことにも怒ってはいるのですが、そういうことじゃなくて…。何で1人で抱え込んじゃうのかなぁーって思っていたんです。確かに新任で頼りないかもしれないですけど一応教師なのに…」
そういって先生は落ち込んでしまっている。
「いやっ、心配を掛けたくなかったし話し合いで済めばそれでいいと思ってたから…。だけど、結果として先生に心配かけてしまって本当にすみませんでした」
そういって謝ると先生は俺をチッラチッラっと見つめてくる。
「本当に? 本当に反省してる? もう先生に心配かけるようなことしない? 」
涙目で見つめてくるとか反則だろ…。
「分かりました…。約束します。なので、そんな顔しないでください」
必死に謝り、先生からは許してもらい、学校からは犯罪予備軍の生徒を抑止出来たと警察からの感謝状で反省文&奉仕活動&1週間の謹慎で許してもらった…。
1週間後
「継は生徒会に強制採用になったから」
校門前で待っていた七緒からそう言われた…。昨日の夕飯の時に美遥からそんなことを言われたような気がしたけど、冗談だと思っていた…。
「そうですよ、鷺ノ宮さんは生徒会役員に強制採用になったんですからね」
そういって七緒の隣にいる仁比山さんが涙目で俺の制服の裾を摘まんでくる。
「鷺ノ宮さんが武田さんと何処かに行ったきり戻ってこなくて…。私がどれだけ心配したか分かっているんですか? 」
そういうと仁比山さんの瞳から涙が溢れてくる…。
「心配をかけてしまって、すみませんでした。こういう行動は今後、絶対にしないとは言い切れないけど、極力しないようにします」
そういって頭を下げて謝ると美遥の溜息が聞こえる。
「まったくおにぃは馬鹿正直なんだから、分かったって言っておけば、みんな安心するのにどうして『絶対しないって言いきれないけど』なんてことを言うのかな? まぁ、そういう正直で真っ直ぐな所が好…」
そう呟いて美遥は俺の後頭部を思いっきり叩いてくる。
「家でも散々言ったけど、次にこんなことが起きそうになったら誰か頼れる人に絶対に相談すること! 分かったおにぃ! 私からは以上」
そういって美遥は一歩後ろに下がる。
「先輩は馬鹿ですね…。私達があんな男に靡くはずがないのに…。でも、私達のために怒ってくれて嬉しかったです」
美濃口さんは、そういって手に持っていた書類を渡してくる。
「生徒会役員になるために必要な書類です。継君、ここまでしたんだから辞退します。なんて言わないわよね? 」
そういって生徒会の顧問 楪先生が俺のことを見つめてくる。
「もし、断ったら? 」
そう尋ねると楪先生は笑顔で紙を渡してくる。
「えっと…、嫌でs」
「断るはずがないよね? 先生に心配をかけるようなことは絶対にしないって言ってたよね? 生徒会に継君が入ってくれないと先生、心配だなぁー」
この状況でそれって少しずるくないか?
「分かりました。生徒会に参加します…。ただ、あまり期待はしないでくださいね」
こうして俺は美遥と同じ庶務として生徒会に参加することになった。
「継君のバカ、本当に心配してたんだから…。先生から状況は聞いたけど本当に心配だったんだからね」
教室に入ると澪川さんがいきなり抱きついてきて顔をグッと俺に近づけてくる。
「ちょっ、近い…。顔が近いよ澪川さん…」
そういって離れようとするが澪川さんが抱きついたまま離れようとしてくれないので周りから冷やかしのような声と殺気の込もった視線が突き刺さる…。
「継、大変だな…」
但馬、見てるなら助けろよ…。視線で訴えかけると彼は視線を逸らして席に着いてしまった。
「継君、扉の前でイチャつくのは、どうかと思うんだ…。澪川さんもいつまでも継君に抱きついてないで席に着いてくれないかな? 先生、教室に入れないな」
楪先生、目が笑ってないです…。何でそんなに怒ってるんですか? ってか澪川さんの胸が、むにょって、してるよ、むにょって…。澪川さんって結構大きいんだ…。
「継君、なに鼻の下伸ばしてるの! はやく離れて席に着きなさい」
俺と澪川さんは先生に怒られ、クラスメイト達から祝福やブーイングの混じった声の中それぞれの席に着いた。
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