blossom
そう、君が
そういって女性の先生が手を差し出してくる。
「こちらこそ、よろしくお願いします。えぇーっとチョウ? いや、でもチョウって木編じゃないしな…」
そういって職員室の座席表を見つめていると、彼女は笑いながら教えてくれる。
「
子供のような無邪気な笑顔で俺の緊張を解そうとしてくれた。
「ありがとうございます。優しい先生のクラスで良かったです」
そういって先生の後について、教室にむかうことになった。
「それじゃあ今日から転校生が来ます。呼びますので少し待っててください」
楪先生が教室から顔を出し、手招きをする。
俺は頷き、教室に入る。
「それじゃあ自己紹介してもらいたいと思います」
そういって楪先生が話を振ってくる。
「おはようございます。今日から皆さんと学園生活を共にさせていただきます。鷺ノ宮 継と言います。よろしくお願いします」
そういって教室を見ると仁比山さんが手を小さく振っている。良かった、知り合いが同じクラスに居た。そう思いながらお辞儀をする。
「はい、ありがとうございます。それじゃあ、
そういって先生は窓際の一番後ろの席を指差す。
「分かりました」
そういって窓側の一番後ろの席に着く。
「こんにちは、私は澪川
席に着くと隣の澪川さんがそういって声を掛けてくれた。
「こちらこそよろしく」
俺はそう答えて微笑み、1限目の準備を始める。
「よっ! 俺は
俺の前の席に座る男子がそういって後ろを向いてくる。
「うん、こっちこそよろしく頼む。それより前を向いた方が良いと思うぞ…。もう遅いけど…」
黒板の前で楪先生が優斗を見て咳払いを一つする。
「但馬君、継君と仲良くするのは良いことだと思うの、だけどHR(ホームルーム)中にお話しするのは、どうかなぁーって思うの」
冷笑を浮かべて楪先生が近づいてくる…。
「はい、すみませんでした! 気をつけます」
優斗は、慌てて前を向き謝罪をする。先生は笑っていたが目が笑っていなかった…。
始業式だったため授業は無く、午前中で学校は終わり放課後になった。
「鷺ノ宮くん、今日一日過ごしてみてどうだった? 」
澪川さんがそういって俺を見つめてくる。
「うん、なんとかやっていけそう…。聞いた感じだと、ちょっと進んでるみたいだから頑張らなくちゃだけどね…」
そういって溜息を吐くと前の席の但馬が振り返りプリントを差し出してくる。
「継、良い物をお前にやろう! このプリントさえ、きちんとやれば1学期の遅れなんてあっという間に挽回できるぜ。それでプリントに記入したら俺に返してくれればいい。やるか? 」
そういって但馬がプリントを俺に見せてくる。
「へーっ、そんなプリントがあるんだ、ちょっと見せてくれ」
そういってプリントを受け取ると但馬は予定があると言って帰ってしまった。プリントを確認するとプリントには【夏休みの特別課題1】と書かれていた。
「うおぉぉいっ、これアイツの夏休みの課題じゃねえか! 何考えてんだアイツ」
その様子を見ていた澪川さんが隣で笑っている。
「やられたね鷺ノ宮くん、でも実際、そのプリントをやれば1学期の総復習が出来るよ」
そういって近づいてくる。
「あぁっ、まったく本当だよ…。このプリントどうしよう? 放置していいのかな? それとも楪先生に報告した方が良いのかな? 」
そう尋ねると澪川さんは少し考えて頷いて
「一番いいのはコピーして楪先生に渡して報告かな? 私がやってあげるよ♪ アイツとは小学校からの腐れ縁だから」
そういって夏休みの課題プリントを澪川さんが俺の手から取りあげる。
「おにぃ、迎えに来たよ♪ ミナミん先輩も一緒に生徒会に行きましょうよ」
何故だか教室の外が、ざわつき始める。
「やっぱり可愛いよな、美遥ちゃん、黒髪美人で胸も手の平に収まるくらいで丁度良いし」
男達のゲスい話が聞こえるけど、どうしたものか?
「おーいっ、おにぃも早く来てよ! おにぃには、手伝ってほしいことがあるんだから」
そういって手を振っている…。何故だろう、男達だけじゃなくて仁比山さんの周りにいる女子からも睨まれている感覚があるのだけど…。
「ねぇ、
澪川さんが俺と廊下から手招きをする美遥を交互に見比べている。
「「「どういうことだ、ゴラァァァァァァァッ」」」
教室の男子達の怒号が聞こえる…。ヤベッ、男子からの殺気がハンパない…。
「ほらっ、行きますよ、鷺ノ宮さん」
ボーっとしていたら、いつの間にか隣に来ていた仁比山さんに手を握られて引っ張られる。
「ちょっ、ちょっと待って、鞄に荷物入れるから」
帰る支度をして殺気渦巻く教室から逃げ出すように彼女たちの後を追った…。
「着いたよ、おにぃ」
そういって連れてこられたのは
「俺、何か悪いことってしましたっけ? 」
後ろにいる美遥と仁比山さんに尋ねると彼女達は首を横に振っている。
「じゃあ帰るね」
そういって帰ろうとすると2人に進路を塞がれる。
「いやいや、帰ってもいいんだよね? 何も無いんだよね? 」
そう尋ねると美遥が首を横に振って
「用事があるから呼んだの、とりあえず中に入って」
ということなので俺は中に入ることにした。
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