ランキング、みたいな
海外の人に比べて、日本人はランキングが好きだと言われます。古くから「番付」と言う名のランキングが行われてきた歴史もありますし、民族の持つ特性なのでしょうか。
小説投稿サイトにおけるランキングのメリットは、「人気のある作品が分かる」という点でしょう。「なろう」のトップページに表示されているランキングは、書籍化・アニメ化されたような作品が並んで居ます。そうした人気のある(ある意味外れのない)小説を簡単に見つけることができます。
作者としても、ランキングに掲載されれば、それだけ多くの人に見てもらえる機会が増えることになります。上位になればなるほど、書くモチベーションも上がるでしょう。
一方でランキングには、人気作に集中してしまうという弊害もあります。ランキング上位の作品にのみアクセスが集中し、ランキングの固定化を招く。その他の作品が見つけにくくなってしまいます。さらに穿った見方をすれば、「ランキング上位だから面白いはず」→「みんなが面白いと言っているのだから面白いはず」という思い込み、先入観を生みかねません。それがいわゆる「テンプレ」を生み出す要因になっているのではないでしょうか。
作者側にとっても、ランキング掲載に拘りすぎて初心を忘れてしまう、という怖れもあります。あなたはなぜ、小説を投稿し公開しているのでしょう? ランキングに掲載されることが目的なのでしょうか?
ランキングには、もうひとつ大きな問題点があります。ランキングの掲載基準です。「カクヨム」では、おそらくPVと★、応援の数なのでしょうが、その基準は明示されていません。何を基準にしているのかを明確にした場合、不正が起きる可能性が高くなるからだと思います。
「マグネット!」では、PVではなく「いいね」や「マグネット」「磁界」によるランキングがトップページ下部に表示されています。ある意味、基準がはっきりしているので、知人同士でマグネットを送りあうという不正が起きたことも(対処済み)ありますが、ジャンルごとではないランキングに簡単にアクセスできる点は良いと思います。
余談ではありますが、ランキングによる特定ジャンルへの集中は、WEB小説に限った話ではなく、出版業界でも同じようです。出版社も売れているモノ(ジャンルやテンプレ要素など)でしか出版しにくくなっています。挑戦的でなくなった、とも言えます。WEB小説投稿サイトが、実際の出版に影響しているという指摘もありますが、小説以外のジャンルでも同様(実績のあるものしか出版しない)の状況なので、要因のひとつではあると思いますが、すべてではないでしょう。
以前にも書きましたが、たとえばAIが読者の好みを判断し、小説を紹介してくれるシステムが構築できれば、そちらの方が健全だと言えます。残念ながら、「ノベルバ」のAIサジェスチョンは、あまり上手く行っていない印象ですが。
極論を言ってしまえば、トップページに検索窓ひとつ置いておくだけでもいいと思ってます。そのためには、適切なキーワード設定や複数ジャンル設定なども必要になるでしょうし、読者に不便を与えてしまうかもしれません。しかし、公正ではあると思うのですよね。
ランキングが悪だ、と言っている訳ではありません。ランキングを表示すればいい、というサイト運営に危機感を持っているのです。WEB小説サイトにおけるランキングは、ユーザーにとってはあくまで目安、と考えることが大切ではないでしょうか。一方で、サイト運営側もランキングに頼らない、作品紹介機能を付加したサイト作りが必要ではないでしょうか。
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