挫折を知らない君が変わる時

いつも自慢げで、自信満々だった君。

その君がつい最近初めて挫折を知りました。


周りは言う。変わったねと。喜ばしそうに。


彼女は多くの人間と敵対していました。それは彼女が自分に対してとても頑固で、常に自分を貫き通していたからです。それでは周りは面白くない。自分たちの意見をそもそも聞く気がないのですから、話しても意味がありません。


彼女は単純な人間だと言われていました。それは彼女があまりにも純粋だったからです。だから彼女を否定すれば彼女に否定され、彼女を肯定すれば彼女は天狗のような態度を取り、あからさまに機嫌が良くなり、優しくなります。余裕から出る優しさというやつでしょうか?要するに自分主義で都合がいいということです。まあ、そんなまがい物の君の優しさに救われていた人間もいたのですが。


彼女は配慮のない人間だとも言われました。それは彼女が嘘をつけず、遠慮がない人間だったからです。でも僕はそれを悪いとは思いません。だって彼女のアドバイスは本当のアドバイスだということなのですから。そんな彼女が僕を褒めた時、僕は初めてお世辞ではない褒め言葉をもらえた気がしたのです。


彼女は空気の読めない人間だとも誰かしらが言っていました。当然でしょう。彼女はそもそも空気を読もうとしていないのだから。空気は吸うものだ、そんぐらいの解釈でしか捉えてないでしょう。しかしそれは言い換えれば周りに流されないということでもあります。言うならば汚染された空気の中で、一人だけ酸素ボンベを使っているという感じでしょうか。全体の空気が正しいとは限らない、

ということです。


どの世界にも変人はいるもので、そんな彼女に告白する男も何人かいました。愚か者め。見た目でしか彼女を見ていないお前らじゃ、一生彼女の正義を共有することはできないだろう。うわべだけの愛など彼女は求めていない。


真摯ではないけれど、素直である。

気は使えないけれど、愛に飢えてはいる。

純粋だからこそ疎まれ

純粋だからこそダイヤモンドより美しい


そんな君が好きだったのに。

挫折を、闇を、悲しみを、どの負も知らない君だけがこの世界の中で純白だったのに。


黒を知ってしまった。

マージンに色が加えられていく。

少しずつ汚れていく。


君はあのままで良かったのに。


嫌われても気にしないほどの強さを持って


批判しかできない不燃物など目もくれないで


自覚症状もない無邪気さにただ身を任せて


僕だけが知っていた君の優しさに酔いしれて


それが幸せだったのに。


自信満々、常に自分が正しいと信じてる。

そんな人間むしろ貴重なように思える。


揺るがないからこそ、そこに真の愛が生まれる。イエスだって平等に愛すため揺るがないことをまず覚えた。


大抵は挫折を学ぶことは良いことだと言う


君は臆病になり、すぐに行動できなくなった


君は周りの言葉を気にして自由運動を失った


君は失敗を恐れいつも夢にうなされている


君は変わってしまった

僕の好きな君はそんなじゃない

お願いだよ

いつもあんな自慢げで

余裕があって

僕に優しかった

あの挫折を知らない君に戻ってくれないか?


今は亡き憧れの君へ送る

もういない我儘であるがままな君へ送る

...memento mori

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