第75話 早く答えやがれ!

「さーて、そしたら早速だが、兄ちゃんを食わせてもらおうかな? オレ様は、踊り食いは趣味じゃねえからよぉ……。サクッと殺させてもらうぜ?」

「そう簡単に殺されてたまるかよ……」


 オレはフライパンを構え、ワルモンと対峙する……。やはり、こいつからはとてつもない威圧感を感じる……。本能がオレの理性に訴えかけてくる……。『早く逃げろ! 勝てるわけがない!』と。だが、オレは本能の警告を無視することにした。ここまで来たのに、逃げる……。そんな選択肢を選ぶつもりはない……!


「ひゃははは! そうこなくっちゃなあ! オレ様としても何の反抗もせずに死なれてもらっちゃ、面白くねえ……。精々あがいてくれよなあ?」

「……まさか、ワルモン教がお前みたいな化物を隠し玉に持ってるとはな……」

「オレ様がワルモン教の隠し玉? いやぁ、気分悪くなるわ、それ。その言い方だとオレ様がワルモン教に利用されてるみたいじゃん?」

「……違うのか……?」

「たりめぇだろ? ワルモン教を利用してるのはオレ達、元魔王軍……。いや、もう魔王様はいなくなっちまったからなぁ……。今は元魔王軍幹部候補のオレ様が独断で利用してるんだがよう……!」


 そうだ。ワルモン教ってのは十年前、魔王軍がスルアムの街を襲ってきたときに住人を助けたんじゃなかったのか? だからこそ、人々はワルモン教の悪政に不満を持ちながらも従って来たんじゃなかったのか……? オレの中でくだらない真実が予想される。きっと、その予想は間違ってない。だが、確認する必要があった……。


「デモンズ……。これはどういうことだよ? お前らワルモン教は魔王軍と戦ったんじゃねえのか?」


 オレはワルモンの背後に隠れるように立っているデモンズに問いかける。


「くくくくくく……」


 デモンズの奴は笑うだけで答えようとしなかった……。


「なんだよデモンズちゃんよう……。こいつに教えてないわけ? オレら魔王軍とワルモン教の関係を」

「ええ、教える必要もございませんので……」

「まあ、そりゃそうか。『贄』に選ばれたからって、こいつが知る必要ないもんな」


 ワルモンとデモンズはオレを置き去りにして話を進める。オレはイライラしてデモンズに叫ぶ……!


「早く答えやがれ! お前らは一体どういう関係なんだ!?」

「ピーピー、うるせえ兄ちゃんだな……。大した関係じゃねえけどよ? 冥土の土産だ。教えてやるよ」


 ワルモンは邪悪な笑みで顔を歪ませながら話し始めた……。

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