第68話 VSイービルその5
「はあ、はあ、はあ。本当に……てこずらせおって……。寿命の一部と引き換えに発動する『マインド・デストラクション』……。この私にここまでさせるとはな……。私の魔力が続く限りの間、この男にトラウマを見せ続けた、が……様子はどうかな?」
「………………」
「フフ、眼の焦点も合わず、口も半開き……。意識もないようだな……。差し詰め、生きた人形というところか……。命を奪うまで行けなかったのは残念だが、これで再起不能だ……! 貴様には手間をかけさせられたからな……。痛めつけさせてもらおう……。なあに、貴様のフライパンほどではない。私は慈悲深いからな。杖で殴るだけにしてやる……。ほうら!」
「…………あ、あ……!」
「な、なに!? ば、馬鹿な! 防御しただと!? そんなはずはない! こいつの精神はもう破壊できたはず……。……もう一度だ……。うらぁ!」
なんだ? 遠くでイービルの焦った声が聞こえて来る……。ああ、オレを攻撃しようとしてんのか……? だったら、ガードしねえとな……。
「ああああ!」
「う、嘘だ……。ま、また防御しただと……。貴様、意識があるというのか……!?」
「がああああああ!」
オレは混濁した意識の中、イービルを攻撃する。頭がふらふらする……。命中しねえ……。
「そ、そんな……。眼の焦点も戻ってきている……。私の……、いや、人が作りだした精神魔法で最も強力な『マインド・デストラクション』を受けて還って来られる者などいるはずが……」
「らああああああああああああ!」
オレは気合を入れるために天に向かって、大声を放つ……!
「はあ。はあ。ふうううう、スッキリしたぜ……。やっと目が覚めたって感じだ……」
「な、なぜだ? なぜ、還ってくることができた? 貴様には思い出すトラウマがなかったとでもいうのか? い、いや、そんなことはないはずだ……! 少なくとも以前、私が貴様に与えた拷問はトラウマになっているはずだ……。それなのに、なぜ……」
イービルは信じられないといった様子でオレに問いかけてきた。
「……トラウマのない人間なんているかよ……。よくも、思い出したくもねえ、思い出、見させてくれたな。それも、何回も、いや、何千回も……か……」
オレはイービルの問いに答えながら、奴に近づく……。もちろん、フライパンをぶちかますためだ……!
「く、くそぉ! わ、私は貴様を過小評価していたということか……! 貴様の真に強い部分はその人外の防御力でも、治癒能力でもなかった。圧倒的精神力……。それこそが貴様の本当の武器だったのか……。み、見誤った……」
「おしゃべりはここまでだ……。ぶん殴らせてもらう! オレは慈悲深いからな……。最初の拷問と、アクエリ誘拐の時と、今! その借りを返させてもらうぜ。3発思い切り殴らせてもらうぜ! おらあ!」
まずは右頬に一発!
「ゲッ!?」
イービルは痛みを受けて声を上げる……。お次は左頬に一発!
「ガッ!?」
止めに脳天だ!
「あああああああああああ!!」
イービルは頭頂部にオレの攻撃を受けると、声を上げ白目を剥く。そのまま、石畳の床に仰向けで倒れこんだ……。し、死んでないよな……?
「こ、これで今までのオレに対してやったことは勘弁してやる……。つ、次なんかやったら、これじゃ済まねえからな!」
オレは意識を失っているだろうイービルに向かって叫ぶ。……これで十司祭とかいう奴らは全員ぶっ飛ばせたわけだ。……いよいよ、ラスボスってわけだな。待っていやがれ、デモンズ司祭長!
――――第一司祭、イービル撃破――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます