第66話 VSイービルその3
「ふう……。さすがに逝ったか……」
イービルはため息を吐き、オレの体を確認する……。
「体中全て丸焦げ、とはいかなかったか……。むしろ、この男、かなり高級な防具を着けているではないか……。剣と防具には電流が流れた跡がない……。まあいい。顔は黒こげだ。手間をかけさせおって……」
あ? なに言ってやがる……! オレはまだ死んでねえぞ……?
「しかし、何回嗅いでも、慣れんな……。焼死体の匂いというのは……正確には感電死体か……? まあ、どちらでも大差ない。また、しばらくステーキを食うことは出来なさそうだ……」
オレは体を起こそうとするが、動かせない……。いや、わずかだが……足を動かすことができた……。
「ん? 今何か音がしたか? ……気のせいか……」
気のせいじゃねえよ。 クソが……!
「ん、んんんんんんんぎぎぎぎぎぎぎぎ……」
オレは声にもならない、音を口から発生する……。だんだんと感覚が戻ってくる。なるほど、焦げ臭い。オレの体から発生している匂いなのか……? 想像したくもない……。少しずつ痛覚も戻ってくる……。
「ぎぎぎぎ、がががががが……」
オレは悲鳴にもならない音を発する……。痛い、痛すぎる……痛すぎて……感覚が薄れそうだ……。
「やはり、気のせいではない……。奴の体から何か音が……声か!?」
オレは少しずつではあるが、体を動かせるようになってきていた……。ゆっくりとだが、確実に起き上がろうとする……。
「ば、馬鹿な。体中、黒焦げになっているはずだ……。な、なぜ立ちあがれる!?」
オレは完全に立ち上がり、驚くイービルを睨みつける……!
「人外とはわかっていたが、ここまでとは……いや、もはや人外という言葉では収まるまい……。貴様は化物だ……!」
「うあ、ああああ、ああああああああああああ!」
オレは電撃で変色したフライパンを振りかざす……。駄目だ……。ダメージが回復しきらない……。力が入らねえ。オレの打撃はまったく見当違いの場所を通りぬけ、イービルには当たらない……。
「ぎ!」
まだ声が戻らない……。オレはふらつきながらもイービルの方に体を向ける。
「化物め……。今の貴様の姿を鏡で見せてやりたいくらいだ。アンデッドのそれと変わらんぞ? 私にこれ以上の攻撃魔法はない。残念ながら、物理的に貴様を殺すのは不可能ということだ……」
「そ、れな、ら、おとな、しく負けをみ、とめ、ろ……」
オレの声が戻ってくる……。……オレの治癒能力はかなり優秀らしい……。
「呆れた治癒能力だな。黒焦げになっていた顔がもう見れる程度には回復してきているではないか……。負けを認めろ、だと? それは貴様の方だ……。私の最大の精神魔法を喰らわせてやろう……。光栄に思え! この魔法をかけるのは貴様で二人目だ……! 一人目と同じく、再起不能にしてやろう……!」
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