第65話 VSイービルその2

「カース・ドレイン!」


 イービルは早速、オレに対して、生命力を吸い取る魔法をかけて来る……!オレは心臓に痛みを感じ、一瞬怯むが、すぐに立て直し、イービルに殴りかかる! 腕に衝撃が伝わる……。手応えあり、だ。だが、イービルが倒れる気配はない……。


「フフフ……。なかなか良い太刀筋じゃないか……。相当にスキルを取得したのだな……。だが、この程度なら、問題はない……」


 イービルは杖を盾にし、オレの攻撃を防いでいた。今まで戦ってきた魔法を使う司祭と違い、近接戦闘にも長けているらしい……。


「クソッ!」


 オレは立て続けにフライパンを振り回すが、ことごとくイービルは杖を用いて受け流す……。悔しいが、戦闘センスは奴の方が高いらしい……。


「さて、試させてもらうか……スリープ!」

「それはアクエリの家の前でやったろ!? 効かねえよ!」


 オレはスリープを受けてもたじろがずに、イービルとの距離を詰める……。


「当然、承知の上だ……。驚いたな……。対精神系魔法無効化体質無効化魔法にすら対抗できるスキルをこの短期間で取得しているとは……」

「ああ、アンタにやられた後、すぐに習得したんだぜ?」

「対精神系魔法無効化体質無効化魔法に対するスキル……か。特定魔法無効化体質のスキルだな? 取得後一度しか使えぬ、任意の低級魔法一つを完全に無効化させる限定スキル……、スリープを完全無効化したということか……。特定魔法無効化体質はかなりのスキルポイントを必要とする……。惜しげもなく習得するとはな……」

「ああ、三千ポイントしたぜ……。おかげさまで、デス・フェロー習得が遠のいたぜ……。……アンタとの闘いのために……スリープ無効化のためだけに取得した隠し玉のスキルだ……!」

「やれやれ、スリープも効かぬとは……。厄介だな……。……デス・フェロー……自身の命と引き換えに任意の対象の命を奪う最上位黒魔法……。貴様、なぜそんなものを欲する?」

「死にたいのさ……オレは」

「死にたい? ククク、防御力も人外だが、精神も人外とはな。そんなに死にたいのなら私が殺してやろう……」

「馬鹿言え。オレは死にたいがお前らに殺されるのはごめんだ!」

「意味のわからない奴め……。クリエイト・アース!」


 イービルはオレの足場を崩そうとする……。この戦術はまさか……。オレは反射的に跳び上がるのを堪えて、あえて崩れた足場と自身の体をバインドで縛り付ける……。


「な……に……?」


 イービルが何かを疑うような目でオレを睨みつける……。


「貴様、なぜわざわざ、バインドで己と足場を縛り付けた? そんなことせずとも跳び上がるだけで避けれただろうに……」

「……教えてもらったのさ……。オレの体が宙に舞ったところに攻撃を加えるんだろ?」


 オレはイービルに対してニッと唇を曲げる……。


「ノウレッジか……。奴にはよく私と手合わせをさせているからな……。余計なことを教えおって……。……良いだろう……。特別だ! ノウレッジには使えない特大魔法で貴様の息の根をとめてやろう! はああああああああ!」


 イービルは杖を天高く掲げる……。オレは奴の攻撃に備え、距離を取る。イービルの頭上に巨大な光球が浮かび上がる……。電気だ……! 電気が固まり、巨大な球となっていく。どこまでデカくするつもりだ!?


「ククク……。我が最大の攻撃魔法『雷神』……。ノウレッジのサンダー・ボルトとはわけが違うぞ!」


電気が影響しているのだろう……。オレの髪の毛が光球に向かって引っ張られる。光球とはかなりの距離があるってのに……。


「フハハハハハ! 『拷問』のイービルとしては不本意だが、一瞬でケリを着けさせてもらおう……! そらあ!」

 イービルが杖を振り下ろす! 奴の頭上にあった光球から電撃が放たれ、オレを直撃する……!

「あ、がががが、がああああ!」

「ククク、この魔法は大爆発を起こすわけでも、貴様を吹っ飛ばすわけでもない! 貴様の体だけをピンポイントに大容量の電流を流すのだ! 瞬きもできぬ一瞬でな! さらばだ! 本当に惜しかったぞ? 貴様の防御力を利用できないことはな!」

 オレの体に大量の電流が一気に流れ込む……。オレは叫ばずにはいられなかった……。

「うあああああああああああああああああああ!」

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