第55話 男子、三日会わざれば刮目して見よ

 オレは『決め台詞』を言い終わると、フライパンを片手に自警団の連中に向かって走り込んでいった……!


「野郎ども! 遠慮はいらねえ! あの侵入者を殺せええええ!」


 自警団の連中は、一斉にオレに襲いかかってくる……! だが、問題はない! オレはこのときのために身体能力強化のスキルをたくさん覚えてきたんだ……! 自警団の一人が、剣をオレに刺してくる……! もちろんオレの防御力の前にそんなものは通用しない。だが、その自警団の男は得意気に叫んだ……。


「てめえの防御力は知ってんだよ……! 攻撃力が女並みに無いこともな……! このまま、教徒兵が来るまで時間稼ぎをしてやる……!」


 この自警団の男、どこかで見た顔だと思ったら、イービルと初めて会ったときに絡んできた奴だ……。なるほど、確かにあのときのオレは一般女性より少し強いくらいの筋力しかなかった……。だが、残念だったな! その情報はもう古いぞ!


「うおおおおおおおおお!」


 オレはフライパンで男の剣を押し返し、そのまま、ぶっ飛ばす!


「ば、馬鹿な。なんだよその力は……! この前戦ったときとまるで違うじゃねえか……」


 ぶっ飛ばされた男が、驚いた顔でオレを見る……。オレは筋力強化体質のスキルを習得したのだ……。素の筋力は今も大したことないが、スキルで底上げしているわけだ……。……こいつらにどこまで通用するかは未知数だが……、取りあえず、末端の自警団を圧倒するくらいには攻撃力は上がっているようだ。


「男子、三日会わざれば刮目して見よってな!」


 オレはそう言って男にフライパンをぶち込む。男は気絶したようだ……死なないでくれよ? 

 ……その後も殺気だった自警団の連中をオレはフライパンで攻撃していく……。


「こ、このクソ新入り! ぶっ飛ばしてやる……!」

「うお!?」


 班長だ。班長がバットのような棒でオレに殴りかかって来た。さ、さすがは班長だ。そのでかい図体から繰り出される攻撃はかなり強かった。オレはフライパンでバットを受け止める……。ちょっとばかし、しんどいな……。これじゃ、攻撃を受けるのに問題はなくても、攻撃ができない……。それならば……。


「超潜伏!」


 オレはスキルを発動する……。班長を含む自警団の連中はオレの姿を見失う。


「どこに行きやがった!?」

「……こっちだ!」


 オレは声を出しながら班長の頭をド突く!


「あ……が……!?」


 班長はオレのド突きに耐えられず倒れ込んだ。闇討ちみたいで少し気は引けたが……そんなことを気にしている場合ではないと切り替えた。オレは自警団の奴らを相手に基本、正面から、力の強い奴相手には超潜伏を使って隙を突いた……。オレの周りには倒れた自警団が次々と増えていった……。


「ひ、ひいいいいいい! な、なんだ、こいつ!? いくら殴っても一つも傷付かねえ……! バケモンだ……! オ、オレは逃げるぞ……!」


 自警団の中には逃げ出す奴もちらほら出てきた……。よし、良い感じだ。オレはスルアム教会の建物に向かって突き進もうとした……。デモンズ達、ワルモン教幹部をぶっ飛ばすために……。

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