第47話 連れ戻さなきゃいけない……!
「はっ!? こ、ここは……アクエリたちの家、か……」
目が覚めるともう、夕方になっていた。外を見ずとも家の中からでもわかるくらいに、もう暗くなりかけていた……。
「兄ちゃん! 起きたのか!?」
「コウ! アクエリは……連れていかれたんだな……?」
「ああ、兄ちゃんが倒れてすぐ、あいつら姉ちゃんをさらって、どっか行っちまった……」
……あいつらご丁寧に「スルアム教会にご滞在して頂く」とか言ってやがったな……。とりあえず、スルアム教会に乗り込むしかない……。どこか別の場所に連れていかれたんだとしても、オレにはまったく見当がつかないからな……。
「手当してくれてありがとな……。……マリもカイもみんなここにいるんだぞ?」
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
「決まってるだろ? 姉ちゃんを助けに行くんだ……。食糧は置いて行く。仲良く食べるんだぞ……。……ちょっと、このフライパン借りてくぞ? じゃあな」
オレはアクエリたちの家を後にしようとする……。
「やっぱり……、兄ちゃんは悪い奴だ……」
カイが口を開く。……そう思われても仕方ない。全てはオレの力不足のせい、判断力不足のせい、だ……。
「そうだな……。アクエリ姉ちゃんが攫われたのはオレのせい、だ……。オレがもっとスキルポイントをケチらずにスキルを覚えていればこんなことには……」
「違う! そんなことは今話してない!」
「え?」
「フライパンを持っていかれたら……、肉が焼けないじゃないか!」
「ええ……」
この状況でそんなこと言います? どんだけ食い意地張ってんだ!
「煮ろ! ……それか、待ってろ。すぐ姉ちゃんを連れて帰ってきてやるから……」
「約束だぞ!」
「ああ、約束だ……!」
オレは今度こそ、アクエリ達の家を後にした……。大通りを通ると、街が殺気だっている……。一人の男が怒声を上げていた……。
「ワルモン教の司祭と兵がアクエリちゃんを連れていきやがった! 絶対に許せねえ!」
このままじゃ、まずい! あいつらの思う壺になっちまう……! でも、自警団だったオレの言葉に……アクシズ教徒が耳を貸すはずがない……! 早く、あいつを連れ戻さなきゃいけない……!
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