第33話 根性見せなさい!

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 ――――ワルモン教総本山 スルアム教会――――


「イービル司祭殿、最近良い信者を捕まえたそうではないか?」

「これは、デモンズ司祭長様……。さすがにお耳が早い……」

「ふむ、一日で約二千五百万エリスのお布施を行い、その後も毎日、約八十万エリスをお布施し続けている。実に優秀な信者だ。よく見つけたものだ……」

「お褒めに預かり光栄でございます……。しかし、少々問題がございまして……」

「ふむ、なんだね?」

「どうも、手を抜いているようなのです。以前は一日に一千万エリスを稼ぐ勢いだったとか……。それがお布施を払うようになってからは一日百万エリス程度しか稼がなくなっておりまして……」

「なるほど、忠誠を誓っているのは表向き。心中では、我々に不満を持っているということか……」

「はい、お察しのとおりでございます。……もし、よければもう一度、『指導』を行おうかと思っているのですが……」

「まあ、待ちたまえ。君がその者に『指導』を行ったのはつい先日だそうではないか? 『イービル殿の指導』は優秀という話は良く聞いている……が、さらなる『指導』を行ったとて、その者が容易に信心深くなるとは考えづらい……。それに……その者は人外の防御力を持っているのであろう?」

「は、その通りでございます」

「そのような人外ならば、新たなスキルをその身に宿していることも考えられる。イービル殿の『指導』にも耐えてしまうような新たなスキルを……。その者の習得可能スキルは不明なのであろう?」

「は、『鑑定』のスキルを持つ者にその者の冒険者カードを鑑定させたのですが……『神の目隠し』なるスキルによって冒険者カードの内容が確認できないとの報告が上がっております……」

「うむ、ならば、安易に『指導』を行うべきではない……。イービル殿の『指導』を疑うわけではないが、万が一、その者が『指導』を受けてもなお、新たに得たスキルの力によって、『改心しない』、などということが起こった場合、我々の沽券に関わる……」

「は、承知いたしました。が、お言葉ではございますが、このまま、というわけにもいきません。高額収入を持つ人間が我々に歯向かい、怠惰な行いをする、というのは他の信者に多大な悪影響を与えることになります……」

「ふむ、貴殿の言うとおりだ。そこで、だ。私はその者をこちら側に付けるべきだと考えておる……」

「ワルモン教徒兵、もしくは自警団に加えさせるということでしょうか?」

「うむ、その通りだ。まずは自警団に入団させ、様子を見る……。そして、態度を見て教徒兵に格上げする……。その人外の防御力は教徒兵として利用したい。教徒兵の方が我々の目の届く範囲になるしな……」

「は、ご命令承りました。早速手配させていただきます」




(仮に歯向かうようであれば……、その時はワルモンの贄になってもらうだけだ……)


 デモンズ司祭長は不敵な笑みを浮かべていた……。

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 ――天界――

「ったく、なんなのこのワルモン教とかいうの! アクシズ教を迫害してんじゃないわよ! 腹立つわねえ」


 女神アクアはスルアムの状況を天界から、見ていた。


「私ができるのはここまで。『神の目隠し』を使ってやることくらいよ! 後は根性見せなさい! カズヤ!」


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