第24話 特別ボーナスをやろう……

 さらに次の日、オレはいつもの通り、暴れ牛討伐に出た。


「旦那ぁ。終わりやしたか?」

「チクショ―! 一匹も倒せなかった!」


 暴れ牛たちも学習してきたのだろうか? どの牛も眼を瞑ってたぞ……。


「はぁ。約0万の儲けじゃないですかい。どうです? ひとつ、あっしに特別ボーナスを頂けませんかねえ」

「なんでぇ!? どういうことぉ!?」

「はっはっはっは! やっと面白い返しをしていただけましたねぇ。旦那ぁ」

「わかりにくいギャグをしないでくれ。おっさん」


 オレはその日以降、暴れ牛が一匹狩れるかどうかの暮らしを続けた。一匹狩れば百万の報酬が入るので、ドラゴン肉を食べて、アクエリ達に差し入れをしても、十分に生活できる状態だった。普段はドラゴン肉を食べ、飽きた時は、アクエリ達の家にお世話になるという生活を二~三週間続けていた。そんなある日、転機が訪れる……。それはいつものとおり、暴れ牛討伐に出た時のことだった。


「旦那ぁ。今日は捕まえられますかねえ?」

「んなもん、やってみないとわからねえよ。おっさんも知ってるだろ? おれのハンティングは行き当たりばったりだって」

「安定感ないっすもんねえ。旦那の狩り」


 おっさんのいうとおりだ。安定感ないよなあ。無報酬の日が続くことになったらどうしよう……。

 いつもの荒野に到着し、オレは香水を垂らす……。そしていつものように暴れ牛が襲いかかってくる……。


「おおりゃあああああああ!」


 オレは暴れ牛に飛び乗る。 ……こいつもか……。最近は、どの牛も目を瞑って、弱点の眼球を隠している。だが、一応オレは瞼の上から剣を突き刺そうと試みた……。


「ンモオオオオオオオオオオオオ!?」

「え?」


 暴れ牛が絶命する……。オレは暴れ牛の死体を確認する。オレの剣は瞼を貫通し、暴れ牛の眼球に到達していた。


「おお!?」


 もしかして、レベルアップってやつが起こったのか!? この暴れ牛討伐の経験とホワイトドラゴンの肉を食べ続けた成果がでてきたのか!? オレは再び暴れ牛に飛び乗り攻撃を試みる。やはり、瞼を貫通する……。


「よっしゃああああ!」


 オレはいつも以上に張り切って、暴れ牛に攻撃を仕掛け続ける。中には貫通できない牛もいたが、オレはバッタバッタと暴れ牛を討伐していった。……香水の効果が切れ、暴れ牛の群れは去っていく……。


「旦那ぁ。ってうええ!?」


 おっさんが驚く。おれは手を広げ、両手を天に掲げた。


「十体だああああああああ!」

「はああああぁ」

「おっさん、ギルドに帰ったら特別ボーナスをやろう……。今日のオレは機嫌がいいからな!」

「本当ですかい? ありがとうごぜぇやす。それにしても旦那。怖い顔も相まって、その笑顔メッチャ不気味ですぜ?」


 うるさい。ボーナスなしにするぞ?

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