そして彼女の表情は険しくなっていく。
「甘酸っぱいですね」
「うるさいですよ。……別にあの会話で、なにが変わったとかはなかったんですから」
からかいの言葉に、彼女は眉を寄せて眉間にしわを作る。
少しだけ切ない空気を感じて、俺は、あ、と口を塞いだ。
そうだ、ここにいないということは、彼は枯れたか、咲くか、してしまったのだ。
うかつだったかもしれない。
これで機嫌を損ねて、今すぐ出ていけ、なんて言われたらどうしようか。
悶々と考えていたら、彼女は再び口を開いた。
「それから少しだけ日が経って。急に、花人がよく消えるようになったんです」
「え、でも、枯れるのも咲くのも、暴走した花人が誰かを襲うのも、日常茶飯事だって言ってませんでしたっけ?」
それなら、別に珍しいことでもなんでもないんじゃないか、と。
だけど彼女は、首を横に振る。
「確かに花人がいなくなるのは日常茶飯事ですけれど。同じ日に複数人が何の前触れもなく姿を消すんです。それが、毎日毎日続きました。……流石に、それは異常でした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます