アジアンファンタジーの参考資料

 昨今書店に行けば、異世界ファンタジーの書き手やゲーム、映像作家向けと思われる設定資料本が豊富に出ていて、クリエイターにはいい時代だなあ、と思う。ただそのほとんどが中世ヨーロッパを舞台にした剣と魔法物関連であって、ワタクシの書いているアジア系、中でも東南アジアから南アジア的イメージの作品を書くためのそういった参考図書がさっぱり見つからないのである。

 というわけで、参考にしたのが「〇〇国を知るための〇〇章」というシリーズだったり、旅エッセイや歴史の本であったり、差別を扱うのでインドのカースト制度に関する本だったり、これらの国々の文芸作品だったり、それも書店じゃほとんど手に入らないんで、図書館で借りるんだけどそれがまたワタクシ以外誰一人借りたことがないんじゃないかって位キレイだったり……という感じなんですよね。

 しかしそれがまた、掘り出し物が結構あって、書く以前に資料の本を読むのが楽しかったりするわけです。

 思い出せるものをざっと挙げてみると、『東北タイの子』。これ、食べ物の描写が多かったですね。虫食シーンもあるんですが、それが美味しそうに書いてあるんですよ。『追憶のカンボジア』。ポル・ポトの虐殺を生き延びた著者による過酷な時代を描いたものだけど、意外にも笑いとユーモアがあって面白い。ひと昔前のカンボジアの生活も良く分かる。『ツバメ飛ぶ』。ベトナム戦争にテロとして参加した少女を主人公にした物語。児童文学だけに、分かりやすい内容で、ストレートに悲劇が伝わって来る。『メナムの残照』。第二次世界大戦を舞台にしたタイの女性と日本の軍人の恋愛を描いた話。タイでは超有名な作品で、何度も映画化されているらしい。

 映画ではタイの怪談映画『ナン・ナーク』。行方不明の息子がいきなり森から猿野姿になって現われる摩訶不思議な作品『ブンミおじさんの森』、インドやバングラデシュで敬愛されるタゴールの歌をテーマにした『タゴール・ソングス』。タイのアクション映画『マッハ!』や『トム・ヤム・クン!』。これはひたすらアクション映画なんだけど、こういう作品に意外とインスピレーションをもらえたりするのである。

 いろいろ見たし読んだし、それぞれ内容豊富だけども、やっぱり数は多くない。妖怪がいっぱい出て来る話なので、コロナが収束したらできることなら現地に行って、現地版『トイレの花子さん』的な、B級おばけ映画のDVDとかをいっぱい買い漁りたい今日この頃である。

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