韓国映画「マルモイ」を見た

 架空の南国の島国を舞台にしたファンタジー小説『アジェンナ国物語』をだいぶ書き溜めたので、少しずつ連載していく予定。

 舞台の「アジェンナ国」が大国の植民地っていう設定なんだけど、ちょっとテーマ的にかぶる映画を偶然見つけて見に行った。韓国映画の「マルモイ」。日本統治時代の朝鮮で朝鮮語の辞書を作るために奮闘する人々の話。ワタクシの小説でも、植民地支配下でひそかに辞書作りに励む老師が出て来るんですね。

 『マルモイ』を観た感想はというと、植民地支配だとか言葉について深く考えさせられる、というタイプの作品ではなかったけど、エンタメとしてはもうむちゃくちゃ上出来で、「娯楽映画の教科書」的な出来。いやはや、辞書作りの映画で映画であんなにアクション出て来るとは思わんかった。笑いもあるし、バディものとしても秀逸。韓国映画界は、シリアスなテーマを一大エンターテイメントに手腕に長けているなあ、と思う。「異世界ファンタジー小説」というエンタメ小説を書く上ではいろいろと参考になった。

 「アレ?」と思った所もある。「マルモイ」の、結構ちゃらんぽらんで文盲の主人公の息子が、エリートの子が通っていそうな中学校に通っていたりとか。日本でも、戦前は中学校は「いい家」の子しか行けなかったと聞いているだけに、実際のところどうだったんだろう、と、「植民地を舞台にした学校小説」を書いている身としては気になる所だ。まあ、映画だから虚構も入ってるだろうし、こっちもファンタジー小説書くわけだから設定は全部自分で作ればいいんだけど、たとえファンタジーでも「実際がどうだったのか」をふまえて作品に反映させる事で、リアリティが増すと思う。

 ちょっとびっくりした事がある。ワタクシの小説の主人公で言葉を操る天才少年の名前が「マル」なんだけど、「マル」が朝鮮語では「言葉」っていう意味であることをこの映画で知った。はあ~、そうなのか。ワタクシは日本人なので、「マル」は○の連想で、主人公の円満で人に好かれる性格からの連想から付けたんだけど。

 ただワタクシの小説の中では、「マル」の意味は「言葉」でも「〇」でもないんだよな……。

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