参考資料を読む

 東南アジア(ぽい雰囲気)の架空の国を舞台にファンタジー小説を計画している。しかし、何を隠そう、ワタクシ東南アジアに行ったことが無い!! だから世界観を構築するには、ひたすら本や映像資料を当たる他無い。しかし……。資料らしい資料が無い! マジで少ない! 先日もDVD屋で棚の端から端まで東南アジアを舞台にしたと思しき作品を探したものの、本当に一つも無いのである。稀に、あるものといったら、まあ戦争映画ですね。『地獄の黙示録』見て、後半の意味不明な展開に口あんぐりし、『戦場にかける橋』見てそのあんまりなラストにボー然としちゃいつつ「戦争はやっぱりいかん」などと思いを新たにしてみるものの、「東南アジアの気候、風土、人々の生活を学ぶ」という本来の目的の方は大して成果が上がっていないのである。

 書籍もあまり多くない。特に、ワタクシが求めている。「単なる旅行エッセイよりももうちょっと内容の濃い、あちらの人々の生活や気候、風土が具体的に分かる」類のものが少ない……。でもって、またしても困り果てたワタクシが手を出したのが「戦記物」なのである。ミリタリー女子でもないのに、なんで自分、光人社NF文庫なんか読みふけってるんだろう、職場の休憩時間にこんなの読んでいるのがバレたら、ただでさえ怪しいワタクシ、ますます怪しい人になってしまう。バレた時には、「実は、小説の取材でね」なんて言えればいい、と人は思うかもしれない。しかしワタクシ、「趣味で小説を書いている」なんて中二病みたいで恥ずかしいなどと小説に対し実に失礼な心構えの人間で、職場の人には一切言っていないから始末が悪い。てなわけで、職場の休憩時間に『〇〇戦記』は一切読んでいないのに、電車を待ちつつ読んでいる時に突然職場の人に声をかけられ、焦りまくるという一幕もあった……。

 まあ、そんな感じで発禁本を読むかのようにコソコソと読んだ戦記の数々。これがまたなかなか参考になる。昔の人は几帳面だったんだなあ、と感心するばかり。文章のプロでもないのに、きちんと自分の体験を書き残そうって人が相当いたわけだ。

 残念ながら、これらの戦争体験記って、今、簡単我々が目にすることが出来るものではなくなっている。ワタクシが読んだのもほとんど古本か図書館の本(しかも書庫から出してもらった本)だ。「もっと、我々はこういう本を読んで戦争について知るべきだし、出版社は読んでもらえる努力をするべきだ!」と憤ってみる。一方で、本来の目的である「東南アジア(っぽい雰囲気の)国を舞台にしたファンタジー小説を書く」という方は一向に進まないのであった……。

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