第8話「甘い見通し」 ~すべてが思い通りにならぬことくらいは知ってるつもり~

自宅に帰る途中にショッピングセンターに寄った。

 杖を買うためだ。


 最近、自宅でも左側の肘や膝をぶつけてしまう。

 

 杖を購入して、帰宅すると、

 子どもたちはまだ学校から帰ってきていなかった。


 月曜日は公文がある。

 長男の小1のねこきちくんと小4長女のピヨちゃん、

 二人とも通っていたのだが、ピヨちゃんは最近公文を辞めた。


 急遽、中学受験をすることに方針が変わったからだ。

 もともと、地元の中学に通わせるはずだったのだが、

 職場の人に色々アドバイスされて中学受験に切り替えた。


 鳥が好きなピヨちゃんは、

 今まで「ピアノ、公文、水泳、書道、将棋」を習ってきた。


 この3月までに、少し整理して、

 今は「週3回の塾と書道、将棋」に絞っている。


 しかし、急に方針転換したので、

 ピヨちゃんは苦労している。


 中学受験は通常は、3年生の2月から始まる

 新4年生のクラスから始めるのが一般的だ。

 

 中学受験を考え始めたのが、4年生の2月。

 つまり、ピヨちゃんは、約1年遅れでスタートした。

 私も妻も中学受験の経験がないので、

 関連本を読み漁っていた。


 ピヨちゃんには酷な話だが、

 本人が頑張るというので受験勉強を開始した。


 塾には週三回通っているが、

 一年遅れだと、なかなか大変なようだ。


 明日からも仕事を休むことになるだろうから、

 勉強でも教えてあげようと考えていた。

 

 私はいよいよ土曜日から治療が始まり、

 ピヨちゃんは受験勉強をスタートさせ、

 ねこきちくんはプロ棋士を目指すことになった。


 のちにわかることだが、全てが甘い考えだった。


 

※副題

 Mr.childrenの「hypnosis」の歌詞の一部です。

 

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