フレッドの誕生日小説




 その日、双葉、ハミル、フレッド、ジョセフ、ヴェロニカ、ジラーチ、クルトはオルガノン寮のロビーに集まっていた。


「当日にお祝いしてくれねえって酷くね?」


 パーティハットを双葉に無理やりかぶらされた恨みか、フレッドはそうぼやいた。


「そんな文句ぶーたれないの。ていうか、昨日、軽く祝われたんだしいいじゃん。」


「お前は当日休んだだけだろ。つかその俺のお祝いサウンド見ないとわかんないような話するの、読者に不親切だぞ。」


「はいはい、そのメタと誘導もやめようね。」


 タイミングを見て二人の間にジョセフが止めに入ってくる。いつもの光景だ。


「それにしても、よくこんなに色んなプレゼント集まったわねぇ。」


「そう、だね。これとか、凄いよね。」


 ヴェロニカとジラーチはのほほんと話している。その視線の先にあるのは、フレッドに贈られたプレゼントだ。その中でまともなプレゼントはジラーチのクローバーのストラップと、ハミルの風景写真集ぐらいである。ギリギリジョセフの誕生花の本と言ったところか。

 やばいのはまとも順に言うと、クルトのヘビの編みぐるみ、ヴェロニカの骨のストラップ、そして双葉の犬の編みぐるみだ。フレッドへのいじり度がよく分かる、気がする。


「フレッドの誕生日だからか分からないけど、みんなプレゼント遊んでるわよね。」


「確かにそうかも。犬...。」


「普段忠犬みたいだもの、彼。」


「だから秋田犬なのか。ハチ公といったか、確か。」


「は、はちこう?ってなんですか?」


「主人が死んでも、10年死んだ場所で待ち続けた犬らしいよ。」


 いつの間にかハミルも話に入ってきていた。そうやって話しているうちに軽く口喧嘩をしていた双葉やフレッドも入ってきていて...


「ねえ、みんなで歌うたおうよ。」


「なんの歌だい?」


 ハミルのそれには答えず、双葉は歌い出した。


「Happy Birthday to you.」


 それに乗って他の人も歌い出す。


「「Happy Birthday to you.」」」


「「「「Happy Birthday dear Frederick.」」」」


「「「「「「Happy Birthday to you.」」」」」」


「おめでとう!」


「おめでとう、フレッド。」


 照れたフレッドの顔は、誰の目にも焼き付くこととなった。それを後日みんながいじるようになったのは、まだ誰も、いや弄ろうと考えている双葉しか知らない。

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