ハミルの誕生日小説
「あーもう、なんでアイツ、あんなこと言ったんだよ。」
ひっきりなしに手を動かし続けていたフレッドは、おもむろにその手を止めそう言った。
突然イライラを解放し始めたフレッド止める為、ハミルは言いたいことを全部吐き出させようと話しかけた。
「何のことだい?」
「プレゼントのことだ、プレゼント。この前いきなり『プレゼントはハミルの誕生日の日に』とかって言いだしただろ。」
その理由に二人共納得する。
ジョセフは砂糖を口に含みながら、浮かんだ疑問を口にした。
「確かに。なんでわざわざ日付を指定したんだろうね。」
「まあでもフタバが理由となくそんなこと言うわけがない。きっと僕らに言えない何かがあるんだろう。」
プレゼントのカタログに目を通しながら、ハミルはそう答えた。
一旦会話が終わると、今度はハミルが話の話題をふりはじめた。
「ところで、2人はフタバのプレゼントには何を送るんだい?」
「見ててわかんねえのか、マフラーだよ。これから寒くなるしな。」
「お母さんじゃん...僕はヴェロニカ、ジラーチと一緒に巷で噂らしいハーバリウムを作ってるよ。」
ツッコミを交えながらも、フレッド、ジョセフ共にその質問に答えた。
「ちなみにボクは水色のピアスを送るつもりだ。」
「ハミル、もしかしてフタバの属性を意識したりとかしてるの?」
「もちろん意識しているよ。しかも、動きやすいように無駄な飾りは付いていないタイプなんだ。」
「へぇー。」
「市販のを買うなんて気持ちがこもってないんじゃねえか?」
清々しいほどフタバのことを細く把握しているハミルにイラついたのか、フレッドはハミルに突っかかり始めた。
「そんなことは無いね。確かに手作りは頑張った感が出るだろうが、それだけさ。見た目の精巧さや使いやすさは圧倒的に変わる。きちんと使えるものでないとね。」
ハミルはいつものように、フレッドが売ってきた喧嘩を笑顔で買った。
「俺はお前のそういう所が気に入らねえんだ!いっつもニコニコニコニコしてよぉ!」
フレッドもそれに返していくが、のらりくらり躱していく。一見フレッドがとてもキレているように見えるが、これはそうではないし、そうだとしても後には残らない。
賑やかな声が、部屋中に響く─
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