第二十択。終着。
通路は薄暗かったが先程まで何度も見て来た先の見えない真っ黒とは違った。
ずっと先に点滅する光が見えたからだ。
つまりこの先に誰かがいる。
私は速足で通路を歩いた。
そして通路の終わりには部屋があった。
扉は開け放たれていて、そこからは誰かの後姿が見える。
『やあ、いらっしゃい。早かったね?それとも遅かったね?』
「どっちでもいい、お前は何もだ?私に何の恨みがあってこんな事をした?」
『怒ってるの?ごめんごめん、だって僕には君が何の苦も無く突破している様に見えないんだからさあ』
「死ねば10秒前に戻るからな」
目の前の誰かの声は少年の様に高かった。
つまり私に選択を迫り、そして何度も悲惨な死を与えた者の正体は少年だ。
声から察するに私より一回り以上は年下だ。
だがそんな少年にこんな事を仕組めるのか?
私は警戒を解く事なく部屋に入る。
何か罠が仕掛けられている可能性もある、慎重に一歩ずつ部屋に入った。
部屋の中は電子機器で埋め尽くされ、少年の前にはパソコンがあった。
画面には先程まで私がいた部屋や十字路が映っていた。
ここで優雅にジュースを飲みながらスナック菓子でも食べいたのか。
そう思うと腹立たしくなり、だがここで暴力に訴えては駄目だ。
感情的になれば失敗する。
私は少年に質問する。
「何が目的でこんな事をした?私に恨みでもあるのか?」
『そんな事より聞かせてよ、どうやって死んだの?ここからだと10秒後が分からないからさあ、ここいる僕は正しい選択をした10秒後しか知らないんだ』
「そうか、なら私を見ろ!こっちを向け!!」
私はその態度に苛立って少年の肩を掴んだ。
すると少年は椅子から滑り落ちて床に倒れる。
一瞬驚いてしまったが、少年を良く見ると人形だった。
人形にはボイスレコーダーが取り付けられていた。
どうやら録音した音声が流れていたらしい。
私は混乱していた。
少年と会話をしているつもりだったのにそれは録音された音声だった。
録音された音声は流れ続ける。
『取り合えずおめでとう。これでタイム・リープからは外れる権利を得れたね!実は僕は君の前任さ、僕も同じ様にここで今の君の様に混乱していた。そして教えられたよ、外れ方を、よく聞いてね?一度しか言わないから―――」
私は軽快な少年の声に残酷な、その方法を教えられた。
その方法とは―――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます