第十九択。完遂。

 意識を取り戻して、私は咳き込み水を吐いた。

 そして乱れた呼吸を整えて、定まらない意識を固定する。

 私はどうやら輪っかを掴む事に成功したみたいだ。

 その証拠い水は全て消え去り、さっきまで真っ暗で見えなかった天井が見える。

 考えなしに全力で上っていたら、死んでいた様だ。

 天井には巨悪な棘が一面に取り付けられていた。

 巧妙に間隔が開けられていて、頭から棘に向かって行く様に仕掛けれていた。

 だがその罠も真価を発揮する事なく私の前に敗れ去ったのだ。

 私は立ち上がって周囲を確認すると扉が目に移った。

 これも巧妙に隠されていて、水が溜まった状態では分からない様になっていた。

 私はそのドアノブを回して扉を開く。

 とても重く、銀行の貸金庫の扉の様だった。

 全身の力を使って扉を開く。

 中は何処まで続いているのか分からない通路だった。

 私は歩く。

 きっとこの先に全ての元凶がいるという確信があったからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る