第十七話。青色。

 意識が戻ると私はロープの下にいた。

 10秒前に戻っていた、つまりタイム・リープがまた始まったという事だ。

 黄色を選ぶと感電死、まだ良い方だが絶対に赤は選ばない。

 こういう映画では赤となれば結末は一つだ。

 鮫やピラニアに食い殺されて死ぬ、そして水面は真っ赤になる。

 生きたまま食われるのは嫌だ。

 私は考える事無く青色のロープを握った。

 だがそもそも青とは何を表すのかを考えるべきだった。

 赤色が流血だと誰も言っていない。

 それは私の考えだ、そして地球は青い。

 話が急に変わった様に感じられるが地球が青いのは海があるからだ。

 では海には何が住んでいる。

 クジラ、イルカ、シャチ、他にも海鳥だって住んでいる。

 そしてこういう映画では何時だって主役の彼もいる。

 ホホジロザメだ!!

 私は死に物狂いでローブをよじ登る。

 幸いにしてまだサメはずっと下に居る、今ならロープを上り切れば助かる。

 私は一心不乱に登って行く。

 カンダタの様にロープが切れるのではないかという恐怖と戦いながら。

 上っていると違和感に気付く、下半身の感覚が無いのだ。

 さっきからずっと腕だけで上っている。

 私は自分の下半身を見る。

 そこには何も無かった。

 水面は真っ赤に染まって、零れ落ちた私の内臓が浮かんでいた。

 私の下半身は飛び跳ねたホホジロザメに食い千切られていた。

 体から力が抜けて私は落下する。

 水面ではホホジロザメが待ち構えている。

 ああ、そうか、青は青いう―――。

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