第6話 VS怠惰とゲーム
「あぁーーーーだるいわー眠いわーお腹空いたわーでも食べるのもだるいわー」
「………おい。真面目にやれよ。」
「はぁーーーだってさ、これ何体目?え?何?こいつ?何回倒したらレア落とす訳?てかさーもう限突すんのに後これ何個いんのさぁーーーだるいわー」
「いや、お前の装備だろって。逆に一昨日から付き合ってるおれの方がだるいわー」
とあるマンションの一室─────
カーテンの締め切られた薄暗い部屋の中には
"クソゲー上等"と書かれた大きめのTシャツ一枚に長く伸びきった薄茶色の髪、うつ伏せになりながらゲーム機片手に愚痴をこぼす女と
クリーム色のくるくるのくせ毛を揺らしながら、これまたゲーム機片手に半裸の男。
「てかさー
手を止めることなく慣れた手つきで画面の中の敵を倒しながら、愚痴をこぼしていた女が言う
「んー?マジットモンスターの乱数調整?」
「ちげーよ、馬鹿かよ。………ちょっ、未呑、回復!回復!」
「うるせー、おれに冷たい
真顔でそう言いながら一切の回復を施さず、仲間を見殺しにした未呑はここで気付いた…おれって攻撃魔法覚えてないじゃん、と。
「いやさ、ほら、三紀猫の話だよ。」
「あぁー、猫一族の?3000年も神追っかけ回してるって言う物好きなあいつー?って蘇生させたんだから戦えやっ!」
「そそ、なんかさぁ十二支に入りたいだ何だって、神の挨拶周り?またやりたいらしくてさぁー…いや蘇生とか要らねーし、床うまーーー。馬だけに。」
「へぇー…そりゃまた面倒なことしてんなぁー?別に十二支とかどーでもいいのになー。牛、今のオヤジギャグはやばいよ。このレベルのクエで床ペロしてるお前よりやばいよ。」
「わざと死んでやったんだよ」と、やる気なく戦う牛の操るキャラクターに必死に回復魔法をかけながら
敵の後に回り込んで杖で殴ると言う、魔法使いらしからぬ戦いを強いられている未呑は必死だった。
「と言うか、牛って三紀猫と仲良かったっけ?おい、見ろって、おれの物理攻撃!3とかだから!一生終わんねーよ!」
「いやー何回か話した程度しか無いんだけどさー…割と頻繁にスレ立てられてるから情報は入ってくるんだよねー、仕方ないレアドロの為だ、戦うかー」
牛は気だるげそうに言うと
もぞもぞともう一台ゲーム機を取り出し、両手に構えた。
「あ、そのスレならこの前おれも見たわ。なんか神の挨拶周りをやり直す説が濃厚らしーな。て事はおれ等の所にも来るとか?」
「えぇーーーまた挨拶行かされんのとかだるいわーでもなぁー三紀猫の気持ちも分からんでもなくもなくもないって…未呑も魔導騎士入れたら早いんじゃねー?」
牛は忙しなく両手を動かしながらも、話すスピードは相変わらず気だるげである。
一方の未呑は、空いた手でスナック菓子をポリポリと食べながらこれまた気だるげに言う。
「残念。おれ、魔導騎士もうカンストしたんだよねー」
それを聞き、バンッと突っ伏して深くため息をつく牛に対し、悪びれない表情の未呑は、一旦ゲーム機を置くとゆっくりと立ち上がった。
「あ!みーのーみー、運搬クエー!お茶!」
冷蔵庫に向かう未呑にあざとく用事を頼む牛だったが、その答えは彼女にとって意外なものだった
「牛、緊急採取クエ。お茶買いに行かないと。」
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