第24話:正直者に女神が微笑む2(201501-04)

 対してラハールは口に入れて苦いと思わず小さな声でいったので織子は大笑いした。ラハールって、いつも難しそうな顔して、お酒、全然駄目なのねと言った。

 実は、ほとんど飲めないんだと、本音を吐いた。その後、食事を取りながら

、織子が小さい頃のことを話し出した。


 お父さんが羽振りが良くて、小学校、中学校、高校と、横浜のフェリス

に行かせてもらい、十分満帆だったのだが、上智大英文科に入って4年の冬

、もう少し、卒業と言うとき、お父さんの経営するレストランで食中毒がでて

、1ヶ月営業停止になり、関連する、レストラン、居酒屋の評判ががた落ちになり

、店に、お客が来なくなった。そこで、父は、赤字を増やす前にと、ドンドン、

店をたたんで、他の人に売ってしまった。それでも、店の仕入れ先の支払いが、8ヶ月分あって、住んでいた家を売りに出すことになり、近くのアパートに4人で住むことになった。そのため、大学を卒業してからは、家のために、働いたお金を入れることになった。


 そして、父は、ふさぎ込んで、酒におぼれるようになり、2年後、肝硬変で亡くなってしまった。母は、近くの洋品店で働き、私の収入と合わせても食べるのがやっとという生活にまで落ちてしまった。


 今も、実は、給料の大半は、家に仕送りしているのよと、寂しく笑った。人間って、良い時代を知っていいると、落ちたときには2倍、辛いのよねと、静かに言った。でも、やっと、私にも幸せの青い鳥が飛んできたのかも知れないと、笑った。幸せの青い鳥ってとラハールが言うと、あなたよと、言った。


 織子が、え、知らないのと言うと、インドでは聞いたことないよと言うと、大笑いした。織子が、ラハールって本当に素直なんだねと言った。そこだ良いのかも知れないけどねと、小さく舌を出した。すこしして、ラハールが、もじもじしてるので、何なの?、と織子が言うと、照れくさそうに小さな紫の箱をテーブルに置き空けると、

ダイヤの指輪が入っていた。それを見て織子は驚いて、どうしたのと聞くとラハールが結婚して欲しいんだと、子供のように言った。


 それを聞いた織子は嘘でしょ、と言いながら大粒の涙を流した。だって、私、神様に見放されてばかりなのよ。ラハールさん、本当に私で良いのと、聞き返した。はにかみながら、結婚して欲しいんだ、僕も、神様に祝福してもらいたいんだよと、おどけて言うと、馬鹿、こういう事は真剣に、お願いしますと言うよの、きつく言った。

 すると、ごめん、私と結婚して下さいと、かしこまって言った。もう遅いと言いながら、涙を流しながら、ありがとう、ありがとうと何度も言った。それを見ていた、ワインを持ってきた店員の娘が、ポラロイドカメラを持ってきて、写真を持ってきて、記念写真を撮ってくれた。

 

 そして、今日は、お泊まりなんでしょうと聞くので、ラハールが泊まりたいがというと、店員がフロントに聞いてみますと電話してくれた。空いてるので、予約を入れてもらった。少しして、小さなケーキが届けられた、店員の娘が、結婚記念のケーキですと、うれしそうに持ってきた。織子は緊張に糸がとけたのかワインを追加注文して、美味しそうに飲んで2本も空けてしまった。


 ラハールは、つくだけで、ジュース、コーラをちびちび飲んでいた。遅くなったので、店を出て、フロントに行き、チェックインしてキーをもらった。高層階のツインルームだった。ラハールがシャワーを浴びて、ガウンに着替えた。織子も恥ずかしそうに次にシャワーを浴びて、ガウンに着替えた。その後、1つのベッドに滑り込んた。ラハールが、初めてで緊張していたが、織子がやさしく話しながら、緊張を解きほぐしてくれた。その後は、ご想像の通り、長い間、お互いの愛を確かめ合う二人だった。翌朝、レストランで店員に会うのが恥ずかしいのでルームサービスを頼んだ。結婚式の日取りも決めて、数日後、織子がラハールの両親に会いに行き、次に、ラハールが織子の母と妹に結婚の挨拶に行った。結婚式はホテルニューグランドで、総勢15人で、執り行われた。

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