パズル9

2018年2月15日


出勤途中にある大きな交差点の手前で、ウロウロ、ソワソワしている男性が見えた。

体の2倍以上はありそうな大きな黒いリュックを背負っている。

その姿を見て不穏な気持ちになった。


沖縄で見た似た感じの男性を思い出し、2人が重なって見えた。


あの時と同じタイプの人間だ。

各地の霊地を旅して回ったり

普通の人が見えないものが見えたり聞こえたりする人だ。

まさか、気づかれた?

気づいてここまで来た?


Mは、できるだけ気を消しスルーしようとイヤホンから流れてくる音楽に気を向けながら横断歩道まで行った。

すると、その男性が目の前に現れ、何か言った。

音楽を聴いていたMには、彼の声は全く聞こえなかった。が、イヤホンを外して聞き返そうとはしなかった。スルーしてほしかったからだ。

その気持ちが通じたのかどうか分からないが、目の前から離れてくれた。

男性が離れて行った方向を見ると、まだ近くでMの方を伏せ目がちにチラチラ見ている。

同じように信号待ちしている中高年の会社員らしき男性と目があった。

リュックの男性に対して怪訝そうな顔をしている。


リュックの男性には申し訳なかったが、Mも同じ顔をさせてもらった。


「気づかれたくない」という気持ちを察して欲しかった。


「私は、一般ピープルに紛れて、一般ピープルのように生きていたい」

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