その13 作戦成功?
一方ダルコ達は、なんとか下水道から地上へと出て来ていた。
「くそ、あの野郎。俺様がこの手で捕まえねえと気が済まねえぜ。お前ら、早くついてこい!」ダルコは、自身のオートバイをなんとか引き上げ、街の中心地へ戻ろうとした。その後を、なんとか部下達が追ってきている。
街の通りを走っている途中で、物見に行かせた手下と鉢合わせた。
「ボス!ドラゴンを捕まえましたぜ!」手下は嬉々として告げた。
「でかした!それで、ドラゴンは今どこにいる?」
「へえ、今領主の館に運んでいるところでさ」
「分かった。俺たちも向かうぞ!」
「ボ、ボス。あの金色のドラゴンはどうするんで?ほら、あそこを飛んでますぜ」後ろからついてきていた手下が言った。
「—— あいつはほっとけ。どうせ俺らじゃ敵わねえ」
その時、伝令が一人やってきた。子竜の捜索に向かわせた者だ。
「ボス、子供のドラゴンを捕らえましたぜ。一緒にいたじじいと女もですが」
「でかした!そいつらはみんな、城か?」
「へい。あいつらが連れて行きました。それで俺は伝令に」
「よし、分かった。お前ら、これから城に向かうぞ!」ハンター達は、すぐに体制を立て直して、ボスに従った。
「シーグ!あいつら、どこかへ一目散に向かってるぜ」ルートは、ダルコ達の姿を認めながら、シーグラムに伝えた。
「あの方向は、ヴィルムバーク城だな。一体、何を考えているのだ?」シーグラムは首を傾げた。
「探しても、爺さんたちは見当たらねえし、ここはひとつ、」
「親玉を叩いた方がよさそうだな」二人はダルコ達を追うことにした。
ヴィルムバーク家の古城は、小さい丘の上に立っている。この丘の切っ先は、山が頂上ですっぱり切られたような、切り立った断崖になっている。また、丘の下は、木々や植物が生い茂っているが、その面積はごくわずかだ。住宅街には不釣り合いな、自然溢れる丘があるため、その上にそびえる古城はいやに目立つのだ。
領主の邸宅は、この城の一画を改築してできたものである。もちろん、城とも繋がっており、城の所有者は領主にあるため、この広い建物全体を好きなように使えるのだ。
ゲーペルは、ハンター達が連れてきた子竜、老人、娘を別々に捕らえていた。娘の方は、今は使われていない地下牢に、子竜と老人は、屋敷の二階にある一室に。地下牢には、ハンター達を見張りに置いた。あまり信用ならないが、金の分は働くだろうと、ゲーペルは思っていた。
目下、いかにこの老人の口を塞ぐかが問題だった。子竜は疲れたのか、眠っている。老人も、気絶させられて、いまだ意識は戻っていないようだった。その時、牢屋の方から轟音が鳴り響いた。今度は何事だ、と思い、ゲーペルは老人と子竜をそのままにして部屋を後にした。
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