第2話 すれちがいBluetooth
トモキは自分の運のなさにあきれていた。
昨日、いかなかった悪友に誘われたイベントに美形の女の子がいたらしい。
トモキは面食いで、積極的な方だ。
スクワッターのアプリを見て、「猛烈盆踊り大会in代々木公園」なんてのに
ピンとこなかったことが敗因だと思った。
(そんなダサイ名称のイベントに女の子くるわけないっしょ)
けーたが見せてくれた桜吹雪をバックにとった写真には
可愛い娘と、その横に控えめに美人が写っている。
(めちゃくちゃタイプ)
「だから言ったでしょ。トモキくん。スクワッターまじ神アプリなんだって」
けーたがアホ面で勝ち誇る。
「使ってからハズレ0パーっすよ。マジで」
(こいつの語彙力のなさも0パーだな)
しかし、確かに美形の知り合いをゲットしたのは間違いないのだ。
トモキは素直にお願いしてみる。
「俺にもレコメンドイベントおしえてよ!」
言われたとおりにアプリをインストールしてみる。
手順がいつものとは違うようだ。
まず、けーたから送ってもらったリンクをクリックして
いくつかの質問に答える。
そのあとスマホの各種機能へのアクセス権を個別に設定する。
いくつか見たことのない設定も許可するらしい。
「これってウィルスみたいに悪いことするんじゃないの?」
トモキの心配顔にけーたが、ヘラヘラと答える。
「設定しないとレコメンドの質があがんないんだってよ」
そういわれると GPSも連絡先も画像アクセスも何もかもOK
せざるを得ない。
(中途半端にイベントをのがすのだけはイヤだ)
最後にBluetoothでの連絡先交換の機能が画面に表示された。
「けーた、この機能なに?」
意外そうな顔でけーたがトモキのスマホをのぞき込む。
「なんだこれ?俺のにはないよ。追加機能じゃないの」
当然ONにするでしょ、という、けーたの言葉には妙に説得力がある。
なにかが起こるはずだ。という確信があった。
設定が終わったスマホを握りしめ渋谷に出てカフェに立ち寄る。
(アプリの効果があるかな?)
画面をチラ見するがなにも表示されない。
次のファストフード店に向かうまでに周りを見渡す。
何人かイケている女性が周りにいる。
当然のようにみなスマホを持ったり、画面操作をしている人が多い。
(ここならなにか起こるかも)
画面には何も出ない。
(ちぇ・・・期待した分、がっかりかも)
結局いつもより2時間も多く繁華街をうろうついたにも関わらず
トモキのスマホ画面に変化はなかった。
25時を少しすぎたころ、自宅のベッドに寝転んで
スマホ動画を見ながら寝落ちをしたトモキの手の中で
バイブ設定にしてある筈のスマホが勝手に大音量で鳴り始めた。
”〇〇公園にて10分後にイベント開催!”
(マジか!?どうする?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます