第二話 転生にあたって
「あなたの次の生についてですが・・・・・あなたは最弱魔法しか使えないことになっています」
―――え、今なんて?
「どうしてって顔してますね。実はこれには深いわけがありまして・・・・・」
「マジかよ!!!俺ってついに魔法使えるように何のか!!!」
はぁ、っとため息をついてあきれるミカエル。
一方、アラタは魔法が使えるという事実だけで大喜びの様子。全く、この男ときたら。
「続けていいですか?
あなたは転生する肉体はですね、魔力量が極端に低く、
最弱魔法である錬金術を使うほどのスペックしか持ち合わせていないのです。」
―――そうか、魔法かぁ~。転生と言ったらやっぱ魔法だよな。楽しみすぎる。
にやけが止まらないアラタ。話聞いてんのかこいつ?
「ところで、最弱とか言ってたが、もしかして魔法には階級的なものがあんのか?」
最弱と聞いて思ってはいたのだが、疑問になってつい話を遮ってしまう。
もう、話をちゃんと聞いてくださいよ。とでも言わんばかりの眼差しを向けられ、俺は少し冷静になる。
―――興奮しすぎたな。まずは少し落ち着こう。
「そうですね、まずは基本的なところから説明しましょう。」
そう言って、ミカエルは虚空に手を伸ばし透明な石版のようなものを取り出した。
出てきたそれは眩いほどの光を発し、空間に大量の文字が浮かび上がらせる。
どうやらこれは俺の世界で言うプロジェクターとタブレット端末を兼ね備えた代物なのだろう。
そして映し出されたこの文字。何かの情報のようだが・・・・読めん。
「えっと~、読めないんだけど。」
「あっ、これは申し訳ありません。」
ペコリ。と頭を下げてそそくさと石版を操作するミカエル。可愛いな、おい。
そして数秒後、ミカエルは顔を上げ再び空間に文字を映し出した。
「これで読めますか?」
「うん、読める読める。」
俺は日本語に直された文章に目を通していった。
魔法には階級があるのか、という点だが、あれはそのようらしい。
魔法の種類は5つに分かれている。
高等術式魔法、召喚魔法、憑依魔法、生体魔法、錬金術。この5つだ。
階級はというと、最も優れた魔法が高等術式魔法で、
その次に優れているのが憑依魔法、召喚魔法、生体魔法この順だ。
そして、他のどの魔法よりも劣っているのが錬金術。
錬金術だけ”術”と呼ばれているのは、扱いづらく、威力もそれほど出ない所から、卑しめてそう呼ぶらしい。
ーーーーーだから最弱魔法しか使えないってことを最初に言ったのか。
ミカエル言いづらそうに微妙な顔して言ってたもんな。
「なるほど、全て把握した。」
「お分かりいただけて何よりです。それでは、今からアラタさんの次の生について話しましょう。」
最弱魔法しか使えなくなる俺はどうなってしまうのだろうか。
不安を抱きながらもミカエルの話に耳を傾ける。
「アラタさん、あなたは最弱魔法しか使えません。がしかし、身体能力は常人をはるかに超越しているスペックになってます。」
身体能力が高い・・・でも、それって魔法が使えなくてもよくない?
そう考えたアラタの心を察したのか、
「そうですね、確かに力でねじ伏せられる敵は多くいるでしょう。
ですが、それだけでは通用しない敵ももちろん存在します。」
話によれば、来世の俺のスペックからいくと、鋼鉄ぐらいは素手でぶち抜けるらしい。
しかし、物理攻撃が通用しない敵には相性が悪いらしい。
そこで出てくるのが魔法ってわけだ。
物理攻撃が効かない敵にはもちろん、それ以外の敵に使っても絶大な効力を発揮するとか。
だから、最弱の魔法しか使えない俺は問題があるってわけか。
「んーなんとなくですけど、大丈夫でしょう。ここでくよくよ悩んでても仕方ないでしょう。」
「で、ですが・・・」
―――そうだ、こんなところで躓いていちゃいけない。俺は早く・・・・
「早く転生して暴れまわりたいんだ!!!」
「うわっ!?やっぱりそっちですか!?」
アラタはこれからの異世界ライフに心を躍らせながら転生にあたっての説明を受けるのであった。
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