14日目<三人官女>

運送会社を料理に例えると…


1.レシピ=経営戦略(社長)

2.調理=実働班(配車、ドライバーなど)

3.提供=納品(お客様)

4.後片づけ=受領処理(事務員)


ではないだろうか。

決してドライバーだけが仕事しているのではない。

この方々が居なければ、みんな、ご飯を食べられないのだ。


➖➖➖➖➖


「あっ、湯沢さん。そろそろお昼にしましょうか?」


「もうそんな時間か…そうね、じゃあ川中さん、これだけコピーとってね。」


「はい!あれ?紙無くなりました。東さん、足元のA4用紙もらえます?」


東、湯沢、川中の三氏は『株式会社Touch by now transport』の事務員だ。


3人はキリのいいところで昼休憩に入った。


「なぁなぁ知ってる?人気アイドルグリープ『小嵐こがらし』が今度ロケで京都入りするみたいやで?」


「知ってます知ってます!一目でいいからタカシに会いたいなぁ。」


「川中さん、タカシ推しですか?わたしは、サトシ推しです。切れ目がいい!」


「みんな、若いなぁ。わたしは俄然ツヨシ推しやね!最年長の落ち着きがいいよね。」


「ですよねー、でも知ってます?ツヨシ推しには、隠れてキヨシ推しも結構いるとか……あの2人は双子だから。」


「ちなみにマサシはどうです?わたしはヨシ以上サトシ未満と位置付けてますが?」


「アヲニ・ヨシ…うーん。ヨシ推しいわく、サトシよりはまだマシらしいよ?」


「わたしからすれば、ヨシもサトシも五十歩百歩ですよ~。」


「うわ、東さんがかわいそうやん。サトシは苦労人なんやで?」


「ところで、スキャンダルが絡んでも一番人気はやっぱり『ダ』でしょうね?」


「うんうん、ダ、一強は変わらないかな。」


「すいません、わたしまだ情報が遅れてて…ダって、あの『ダ』ですか?」


「そう!ダダダダダのダ!」


「うんうん!ダが世に広まったのは、映画『ブレイクダンス・DE・ダダダダダ』でブレイクスルーしてからなのね!」


「ダだけ別格ね。」


「はぁー、なーんかサトシ推し辞めてダ推ししようかなぁ…ダのダンス、かっこよかったですもん。」


「ダメ!この浮気者!それにダはファンクラブに入らないと推すことすらゆるされないのよ?だからダメだよ。」


(………。)


「あらあら、もうこんな時間。そろそろ休憩終わりですね。」










「あの…ひとつ聞いてもいいですか?」










「何ですか?山田さん。」


山田はまったく会話に入れなく、1時間も黙ったまま座っていた。


そして勇気を出して聞いた。





「『ダ』って何ですか?」






すると事務の三氏は




「「「ダ・ガシカシ!!ダ・ガシカシのダ!ガシカシって言いにくいでしょ!?」」」


と、声を揃えて言った。



14日目終了。

今日も一日お疲れ様でした!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る