閑話 鈴木家の日常
朝、俺はリビングに入ると目覚めぬ頭のままソファーに腰かけた。
隣のキッチンからは、料理をしているらしいカオルの鼻歌が聞こえる。
ほかの三人はまだ寝ているようだ。
朝食の時間には少々早い。
カオルの綺麗な歌声を聞きながら、火のついてない暖炉をぼうっと見ていたがやがて手もちぶさたになり、食事の手伝いでもしようかと考えたところでイズミが部屋に入ってきた。
透明な美貌をもつエルフは俺を見てにっこりと品よく微笑む。
そういう仕草が、ほんと絵になるなこいつと感じる。
俺の横に、静々とした貴婦人のような様子で歩いてくるイズミ。
シュバッと……突然脈絡もなく、頭の後ろで両腕を組んで、ミニなスカートから膝を曲げた片足を見せるという挑発的な立ち方をしやがった。
いわゆるセクシーポーズ。
一般人がやると(笑)にしかならないそれが似合うのはエロフ補正か。
イズミが普段から好んで着ているのは乳袋が作れる特注構造のミニスカートワンピース。
ぱつぱつな布地に、豊満な曲線をもつエルフおっぱいが、たゆたゆんと微揺れして否が応でもエッチく強調される。
あと、しなやかで健康的な白さのフトモモもポイントが高くて中々にエッチぃである。
イズミは細いあごをくいっとあげ、得意げに、女王様的な流し目で俺を見おろしニヤリと笑う。
そういう仕草も似合うよな……こいつ。
そして悟る、これは奴からの挑戦状だ。
以前の俺だったら情けなく前かがみになって逃げ、イズミの悪役令嬢のような笑い声を背にトイレに籠っただろう。
だけどイズミさんよ……からかって遊んでるつもりだろうが、今の俺が、今までの俺と一緒だと思うなよ‼
何しろ現在の俺は家持ちの鈴木家の大黒柱だ‼
大人な男は、女に対しての対応も当然大人なんだぜ(童貞)
そんなわけで『付き合ってられない』と、何気ない、クールな風を装ってイズミの尻をぺしっと叩いてやった。
布地越しだが、いい音が鳴った。
その結果は劇的……いや予想もしなかったよ。
今まで余裕な表情だったイズミが突然「ん”ふぅぅぅぅ♡」と濁音付きの汚い奇声をあげ、頬を真っ赤に染めた
なんでそうなるんだよ⁉
意味がまったく分かんねえよ⁉
商品開発にあたり布面積の極限に挑戦しました‼ なんてセールストークが聞こえてきそうな紐パンツが、くぱっと丸見えである。
いや、つうか、紐だよねこれ⁉
もうナニか違うものが見えてますよ⁉
イズミが変態的ポーズのまま下唇をかみ『私は貴方さまのメス犬なんですぅ♡』なんて感じの媚びた上目使いをしやがる。
やばいっすわ。
俺の暴れん坊がアップ始めましたわ。
というか、けつ叩き一発で発情するって、雑すぎて昔のエロ漫画でも中々ないよ⁉
まあここだけの話、見た目は清楚なエルフ姫さまなので、ちょっとエロイ表情とか卑猥なエロワードを口にすると、とんでもなく破壊力があるんだよね……清楚系ビッチのくせにさ。
例えるなら、おち〇ぽ連呼した伝説のハイエロフ、黒〇のセレ〇ティンさまみたいな?
うん、わかる人だけわかれ。
俺だって、こいつの中身を知らなかったら『お願いします‼』と土下座のひとつくらいしていたわ。
でも俺は一国一城の主、大人の男‼
鈴木家の娘たちに対し毅然とした態度をとらなければいけないのだ‼
そんなわけでイズミの頭部に軽くチョップを入れた。
「いたーい♡」
ビッチエロフはお茶らけた感じで舌をペロリだしやがった。
そしてすくっと立ち上がって腕を組む。
フフンッといったすまし顔には先ほどまでの異常な発情は欠片も見えず、俺をからかうためだけに演技してやがったようだ。
「もう、ヒイロはいけずですね」
うるさいわい‼
とにかく俺は勝利したぞ‼
むぅ、と珍しく唇を尖らしだしたイズミをよそに、大黒柱の威厳を保ちつつ悠々とその場から立ち去る。
そして自室に入ると、扉の鍵を静かに閉め、ベッドに寝そべった。
脳裏に焼きついた紐でしかない紐パンと中身。
そのせいで暴れん坊から暴れん坊征夷大将軍に進化してしまった息子をクールダウンさせるために……。
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