第7話 アルケシオンの町
アルケシオン
魔法で透明にされたり、透過したりしたのち、牢屋から出た裕司達は大きな町へと辿り着いた。
「わぁ、すごい。色んな人達がいるね」
町の通りには、猫耳や犬耳をはやした人間やトカゲの様な体つきをした人間がそれなりの数、歩いていた。
「本当に別世界なんですのね」
加奈は、改めて思い知ったと言う風に述べる。
そんな二人に説明するのはコハクだ。
「あんまりキョロキョロしないで、田舎者みたいじゃない。彼らは亜人よ。あんた達の世界はどうか知らないけど、この世界には、人間と亜人と、そしてアルカミレスという種族がいるわ」
聞きなれない言葉に裕司と加奈は、首を傾げる。
「アルカミレス?」
「どういう種族なんですの?」
「魔法が使える種族よ。人間と同じ見た目。他の種族は使えないけど、彼等だけ魔法が使えるの」
と、いう事は……と裕司達はコハクを見つめる。
「その通り、私はアルカミレスよ。そしてクレハ様も。でも、あんまりその事は公言しない方がいいわね」
「え、どうして?」
理由が分からなかった裕司は素直に尋ねるしかない。
(魔法が使える事は凄い事なのに、何でだろう)
「差別の対象になるからよ。自分より優れているのが気に食わないんでしょうね。そして、逆立ちしたって手に入らない才能へと妬みとかも」
「そんな……」
ショックを受けるが反対に、加奈は強気だった。
「生まれなんて選べるものではありませんわ。そういう事を言ったりする人は、心の弱い人。考えるだけ時間の無駄ですわね。ましてや、傷ついてやるなんて労力の無駄遣い極まりないですわ」
加奈はいいところのお嬢様として、育ってきた。
恵まれた環境に生まれて来たという事もあって、周囲からのやっかみも絶えなかったのだ。
その言葉を聞いたコハクは。ニヤリと不敵に笑って見せる。
「あんた、話が分かるじゃない。そうよ。だから私は気にしない。でもやっぱり言われるのは面倒だから、隠してるってところ」
(コハクちゃんも加奈ちゃんみたいに、たくさん苦労しているんだな)
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