第2話 クレハという女性
棺を見つめていると、頭の中に声が聞こえて来た。
「はじめまして、異界からの小さな来訪者さん達、私の名前はクレハと言います」
「えっ」
「頭の中に声が、一体どういう事ですの」
裕司は加奈と共に戸惑う。
頭の中に声が聞こえてくるなどという事は、今までで一度も体験した事がなかったからだ。
「魔法を使って、声を届けているんです。念話といって、かなり魔法に慣れた人ではないと、できないものなんですよ」
「魔法……じゃあ、この世界って、僕達のいた世界じゃないの?」
祐司のいた世界では、魔法はフィクションの産物であり、実在するものではなかった。
クレハという女性から知らされた事実に、裕司は驚かずにはいられなかった。
「おそらくそうでしょう。貴方達は、誰かによって別の世界からこの世界に召喚されてしまったようですね」
クレハの言葉を聞いた加奈はそこで、質問する。
「それは誰なのか貴方は知っていますの? 知っていたとして教える気がありますの?」
「残念ながら、私には分かりません。何人かの心当たりがいますが、確証はもてないところです」
「そうですの。困りましたわね」
申し訳なさそうな声で説明するクレハに、加奈は困った表情になって考え込む。
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