第3話 捕縛
「あの、クレハさんは元の世界に帰る方法とか知ってたり、しますか」
「残念ながら、それについてはあまり詳しくはありません……。召喚した人に、魔法を使ってもらう事ぐらいしか」
「そうなんですか」
もたらされたクレハの言葉に裕司はうなだれる。
(とりあえず、元の世界に帰る為には、僕達を召喚した人を見つけなくちゃいけないんだ)
落ち込んでいると、そこにクレハが声をかけてくるのだが、段々とその声が小さくなってしまう。
「こちらでも力をつくして貴方達を召喚した人が見つからないか、協力させてもらいます。その間、このクリスタルパレスで、客人として……」
クレハの小さくなっていった声は、途中で途切れてしまって聞こえなくなってしまった。
唐突に会話の無くなってしまった中で、裕司は焦ってクレハに呼びかける。
「クレハさん、どうしたの。大丈夫?」
「今の声は、この棺の女性の方の声なんですわよね。どこか具合でも悪いのでしょうか」
心配になって、棺を覗ぎこむが、その中に納まっているクレハの様子は、最初に見た時とまったく変わらなかった。
これからどうするべきかと、裕司と加奈は互いを見合わせていると、そこ制服を着た男たちがやって来た。
全員手には怪しい武器を持っている。
「侵入者だぞ、捕まえろ!」
「ええ!」
どうやら、裕司達は不法侵入者だと間違えられてしまっているようだった。
弁明しようにも、クレハの声は裕司達や男達にも聞こえなくなっているらしく、無実を証明する方法がない。
「怪しい子供達だな、取り調べをするまで牢屋に放り込んでおけ!」
「そんなぁ」
「困りましたわね」
裕司達は、男達に捕まってそのまま牢屋へと入れられてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます