第二章―① ネズミとプール

「あっれー?」

 大きかった。自分が。

 小さなガラスのテーブルは手が届かないほど下の方にあり、頭が天井にこすりそうになっている。

 床だけでなく、自分の手も、足も、遥か遠くに感じられた。

「首だけひょろっと長い感じかな?」

 だが手足の大きさも、テーブルより大きく感じる。ならば全体的に大きくなっているのだろう。

「大きくなったり、小さくなったり…。」

 忙しない。

 確かにテーブルの上の鍵には手が届くようになったが、これではあの小さな扉は通れないだろう。

「甘いもので、確かに頭はちょっとスッキリしたけど。」

 スッキリしても、考えを話す相手がいないから、自然と独り言が多くなった気がする。

 さっと周りを見回したが、今度はソーダもカップケーキも見当たらない。

「瓶と小箱も無くなってる。」

 ならやはり、ここは少し変だ。けれど扉が開かないのでは、元の日常にも戻れない。

 後先考えずに進んで来てしまった自分が情けなくなり、その場に座り込んだ。

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