第38話
俺たちは外に出た。
そして家の横を通って道路に向かおうとしたとき、前をゆくとしやがぴたりとその足を止めた。
そこには窓があり、割れた窓から中の様子がよく見えた。
真琴がいてその先に青白い中年男がいる。
俺たちは真琴を斜め後ろから見るような形になっていた。
としやは動かなかった。
俺もその場から動かなかった。
気付けば青白かった男が、今はその全身が真っ赤に染まっていた。
真琴が言った。
「本性を現したわね、この化け物。それにしても本当にすごいわね、その霊力。元は人並みの力しかなかったはずなのに、五十年以上も一時も休まずに自分の霊力を高め続けて、ここまで強くしたのね。こんなやつがいるなんて、思ってもみなかったわ。その執念だけなら、充分尊敬に値するわね。使い方は完全に間違っているけど」
男が言った。
生きた人間が発することは不可能なほどに、やけに響く声で。
「あの子は私の子供だ。死んでからも私のものなんだ。それなのにあの世に送ってしまうなんて。おまえ、許さないぞ。絶対に許さない」
としやが唾を飲む音が聞こえた。
真琴が言った。
「ふん。許さないと言うなら、いったいどうすると言うのよ」
「殺してやる。おまえなんか殺してやる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます