第13話

五十年以上も前だ。


俺の両親もまだ生まれてなかったころだ。


そしてその記事に載っていた家の写真に、思いっきり見覚えがあった。


それはもう見飽きたと言っていい、あの家の写真だったからだ。


俺は食いつくようにその記事を読んだ。


その内容は、あの家の主人である父親が、妻と二人の子供を襲ったのだそうだ。


母親が子供の一人を命がけでかばったため、当時八歳だった長男は助かった。


俺は長男の名前に聞き覚えがあった。


確か坂下の爺さんが言っていたことがる。


あの家の現在の所有者だ。


そして先に襲われた次男は、残念ながら殺されてしまったと書いてあった。


母親は重体だったようだ。


次男の身体はばらばらにされ、家の周りにばらまかれた。


そこへ次男からの通報により警察官が駆けつけたが、父親は首を吊ってすでに死んでいたそうだ。


そこまで読んだとき、としやがもう一枚差し出してきた。


日付は最初のよりも二日後だった。


そこには重体だった母親が命をとりとめたこと、ばらばらにされた次男の身体を集めたが、どういうわけか右手首だけが見つからなかったことが書かれていた。


記事から顔を上げると、としやが言った。

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