第9話
考えてみたが、それがなんなのかまるでわからない。
だが一つだけわかっていることがある。
この奇怪な現象が起き始めたのは、あの廃家に入ってからということだ。
それからも通学路で、コンビニで、そして自分の部屋で、見えない何かを踏んだ。
毎回どう見ても、そこには何も見えない。
足をどけて手で触ってみても、やはり何もないのだ。
――あの家か……。
そうとしか考えられない。
あの家からよくないものでも連れて来たとでも言うのだろうか。
そもそもあの家は、ただの古い空き家にしか見えないあの家は、何故大人たちから近づくなと言われているのだろうか。
両親にそれとなく聞いてはみたが、あっさりとかわされてしまった。
あまりしつこく突っこんで聞くと怪しまれるので、やりたいけどそれはできない。
一番知っていそうなのはこのあたりの長老である坂下の爺さんだが、子供が家に近づこうとすると、誰よりも声を荒げるのがあの爺さんだ。
最近はしなくなったが、一時期はわざわざ廃家も見回りをしていたこともある。
廃家のすぐ近くに住んでいるわけでもないのに。
もう九十を超えているはずだが、とにかく元気だ。
考えた末に、としやに聞いてみることにした。
としやもあの家については何も知らないようだが、プチオカルトファンの俺をはるかに凌駕する筋金入りのオカルトファンだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます