第8話
ところが足を上げて廊下を見ても、何もない。
小さな砂粒程度の大きさのものではないので、見つけられないということはないはずなのだが。
下を食い入るように見ていると、としやが話しかけてきた。
小学校以来の腐れ縁で、今は同じクラスになっていた。
「どしたん?」
「いや、なんでもないわ」
とりあえずそう答えておいた。
それから一週間ほど経ったころ、大型ショッピングモールで買い物をしているときに、また踏んだ。
一応確認はしたが、足の裏の感触は確かにあるのだが、目に見えるものは何もない。
でも疲れているとか気のせいとかのレベルでは、決してない。
俺は思いつき、確かめてみることにした。
見えない何かがある右足に体重をかけ、バランスをとって左足を少し上げたのだ。
すると左足が宙に浮いた。にもかかわらず右足も、一センチかニセンチ程度ではあるが浮いたままだ。
今の俺は、両足とも宙に浮いているのだ。
ショッピングモールなのでそばを通り過ぎる人は多いが、まさか今自分の目の前にいる見知らぬ中学生の両足が床からわずかばかりだが浮いているとは、思いもつかないであろう。
それに気がついた人はいなかった。
数秒後に右足が床に着いた。
――これはいったいなんなん?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます