第7話

足を上げて懐中電灯で照らしてみたが、そこには何もなかった。


――気のせいか。


しかし数歩歩いたところで、また踏んだ。


先ほどと同じものを。


再び照らしてみたが、やはり何もない。


でもけっして気のせいなんかではない。


確かに何かを踏んだのだ。


――えっ、どういうこと?


俺は急に怖くなり、慌てて家を出た。


自転車のところまで走ると自転車に乗り、そのまま田んぼに直行した。



「遅かったな」


父にそう言われ答えた。


「途中のコンビニでコーヒー飲んでたんや」


「そうか。で、田んぼ、どうやった?」


「問題なし」


「そうか」


俺はそのまま自分の部屋に向かった。



数日は何事もなかった。


しかしある日学校の廊下を歩いていたとき、また何かを踏んだ。


あの廃家で踏んだものと全く同じ感触だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る