第2話

かといって夜は夜でその家まで行くあぜ道に当然街灯などはなく、足元も悪すぎるのでどうにも行く気にはなれない。


あぜ道も誰も使わないと、朽ちてあちこち崩れてしまうのだ。


結局のところ他の子供も同じようなもので、その家に近づいた子はほとんどいなかった。


最近で言えば数年前に、今では中学生になっている男の子が家の中に入ろうとして、すんでのところで近所の人に見つかり、両親ともどもこっぴどく叱られたことがうちの学校でも話題になったことがある。


ちなみに見つかったのは、僕の通う小学校とは別の学校だったが。


別の学校と入っても、このあたりに小学校はニつしかないけど。


「あの家に、なんか宝があるんとちゃうん?」


そんなことを言う子もいたが、宝があるのなら何故空き家の中に置いたままなのか。


それはちょっと考えにくい。


だったら何故大人たちがあの家に子供が近づくのを嫌がるのか。


考え、いろいろな理由は思いついたが、どちらにしても明確にこれだと言える理由は、思いつくことが出来なかった。


そういう僕も小学校を卒業して中学生になり、今では僕ではなくて俺と言うようになった。



そんなある夏の終わり、台風がやって来た。


大型で特に風が強い台風だったが、四国山地が見事に受け止めてくれる格好になり、四国山地のないわが県では風はそれほど強くはなかった。


それでも雨はしっかりと降ったのだが。


「おい、ちょっと田んぼ見てきてくれんか」

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