第4話 解決編

「…さて、全員集まった訳だから、始めるとしよう。今回、わかってしまえば簡単な事件だった。まず、犯人が行った行動はこうだ。

はじめ、犯人は被害者の遺体を引きずって行き、そのまま帰るつもりだった。そしたら、雪が足跡を消し去ってくれる筈だった。

しかし、実際には雪が二時間も早くやんじまった。困っただろうな。多分犯人は自分の部屋で殺した筈、もし室内に置けば、自分の部屋が調べられるかもしれない。しかし屋上なら、当分捜査はそちらを向く。証拠隠滅の時間もできるだろう。しかも、この状況を利用すればさらに確実だ。警察は足跡の謎に向いてくれる。犯人はこう考えた。ではどうするか。犯人は一つ、策を考え出した。屋敷にある板を使い、その上を通るというものだ。

これなら足跡はつかない。しかし放置したままだとトリックが丸わかりだ。回収しても結局あとが残る。そこで犯人は考え出した。

なぁ桜、木の葉を隠すならどこに隠す?」

「え…森の中?って、まさか。」

「そう、あのばら撒かれた大量の板はそういうことだ。ではどのようにやったか。それはこうだ。まず、他の板の穴に糸を通す。このとき、糸の片端に結び目を作る。そして同様の方法で両端に行き、さっきの糸の結び目がない方を手すりの部分を迂回させ、出入口の所まで伸ばして持ってくる。両端に行き、それをやったら持ってきた糸を思いっきり引く。すると、糸は切れ、反動で板は飛び散るというわけだ。さて、問題は板の上を通ったときに残る凹みだ。これを解決する方法は一つ。自分が発見者になり、もう一度その上を歩き回ればいい。さて、それができるのは、発見時に錯乱し、板の上を駆け回った、

被害者の妻である佳子さん。貴方だけだ。」

「中々に面白い推理だけど、証拠はあるの?」「勿論、貴方の使った糸の切れ端をさっき屋上で見つけた。これの切れ方と一致する糸を、慎重な貴方のことだ、拾われるのを恐れて、まだ持ってるんじゃないか?」

「…驚いたわね。自身があったのだけど。」「って事はやっぱり…」「ええ、主人を殺したのは私です。動機を言うのなら、やっぱりあの人の浮気ぐせでしょうか。他に新しい女を見つけて、結婚したいから別れてくれ、なんてね。それで今回のを思いついたのよ。」「それでは、署にご同行願えますか?」

「ええ、いくらでも。」

こうして、捜査陣を悩ませた事件はいとも簡単に解決したのであった─

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