第3話 捜査編
「あ、葉桜先生。こんにちは。桜ちゃんもありがとう。」
さて、現場に着くと声をかけてきたのは捜査一課課長であり、今回の依頼主である時田警部である。今年52になるベテラン警部は一見して好々爺という印象を受けるが、いくつもの事件を解決してきた、実力者である。
「捜査はどこまで進みましたか?」
「いや、これといった事はないねえ。しかし、天気予報が外れて良かったよ。予報では雪はあと二時間は降る予定だったらしいからね。」
「…なるほど…屋上に行くぞ」「あ、うん。」
さて、私と栞は次に現場に踏み込んだ。報告通りに木の板がばら撒かれていた。大方の捜査は完了しており、見る所は特にないという感じである。事件発生から一日も立っておらず、気温も相変わらず低かった為、雪はあまりとけてはいなかった。
「うーん、もう大方の捜査はやってるね。」「…そうだな。」「ねぇ栞、何かわかった?」
「足跡を残さない方法と、板をばら撒いた意味はわかった。」「もうそこまで分かったの!?」「当たり前だろう。簡単だ。問題は、どうやって板をばら撒いたかだ。」「どういうこと?」「横の幅はここから八メートル程ある。板なんぞ投げ飛ばせるか?」「なるほど」「…まぁいい。少し聞きたい事がある。行くぞ。」
それだけ言い残すと栞はそそくさと出ていってしまった。「あ、待ってよ栞!」
追い付いた先で栞は被害者の娘である舞さんに話を聞いていた。「…つまり、被害者は作業する前の週に板に穴を開けていたんだな。」「はい。そして次の週で組み立てるのが習慣でした。」「そうですか。ありがとうございました。よし、行くぞ桜。」
「え、どこに?」「決まっているだろう、屋上だ。」「ま、またぁ!?」
そしてまた屋上に来ると栞は何かを熱心に探し始める。そしてようやく立ち上がり、
「桜、これを鑑識に回しておいてくれ。」
そう言うと、栞はあるものを差し出す。
「犯人が分かったの?」
「ああ、謎は全て解けた。関係者を集めておいてくれ。」
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