第2話 事件編
まず、事件の話をしようと思う
2017年10月5日、下北沢である資産家が殺される事件が発生した。資産家の名前は林原寂聴、年は53歳、趣味は日曜大工
死因は絞殺。自分の屋敷で殺されたのだが、その状況が変わっていたのである。殺害現場は屋敷の屋上だった。
死亡推定時刻時刻は17時から19時、発見時刻は19時だった。ここで一つ問題が出てきた。その日はかなり雪が降っていた。時間帯は13時から16時まで。
つまり、屋上で殺害、ないし運び込んだとして、犯人と被害者の二つ、若しくは犯人の一つ、靴跡がついていなければならなかった。
しかし、なかったのである。第一発見者の妻と娘の二人以外の足跡が。さらに、この屋上には、木の板(被害者は日曜大工が趣味であった)が無数にばらまかれており、この事実は捜査陣を大層悩ませた。死体を投げようにも出入口から死体があった場所まで優に三メートルはあるのだった。
当時屋敷に居たのは五人。したがって犯人はこの五人の中にいると考えてもらって構わない。
さて、説明も終えたことなので、物語に入ろうと思う。尚、ここからは基本的に桜視点である
探偵登場
私、九条桜は刑事一年目の新米である。
警察学校を首席で卒業し、知力も体力も、他の人達より勝っていると思う。しかし、これから会う葉桜栞に会うと、(体力はともかくとして)知力に関して、私は自分が馬鹿であるように思えてくるのである。
その葉桜栞という人物は、IQ400以上という頭脳を持ち、海外の大学を飛び級で卒業し、16歳で日本に来てからは犯罪学者として研究をしている。
私が栞と出会ったのもその頃である。なんだかんだ言って、高校時代からの親友である。
所で、栞はとんでもない変人である。
間違った推理を披露した日には、相手が誰であろうと「馬鹿かお前は」で一刀両断するのである。
そもそもにして、栞の本業は前述の通り犯罪学者である為、探偵は趣味のような物。従って、依頼に行ったら、まず事件の事を聞き、そこで真相が解った所でやはり「馬鹿かお前は」で断られるのである。しかし、私が依頼に行けばなぜか二つ返事で引き受けるので、依頼に行かされるのは大抵私なのである。
さて、そんな栞の容姿は…
私は栞の家のインターホンを押すと、しばらくして、漆黒の長髪をツイルテールにし、眼鏡をかけ、白衣を着た女性がでて来た。
女性と言っても、身長が150Cmしか無く、しかも童顔なので、充分高校生、下手をすれば中学生で通ってしまう。「………桜か。」
「うん、依頼があって来たんだけど。」
「…解った。少し待て。準備をして来る。」
それから十分程で栞はでて来た。服装はさっきと少しも変わっていない。
「事件の事は聞かなくていいの?」
「…車の中で聞く。」「そっか。」私は栞が車に乗るとエンジンをかける。そして、私は車の中で事件のあらましを話した。
「発見時の様子は?」
「発見者は妻の佳子さんと娘の舞さんで、駆け寄って様子を確かめたんだけど、もう死んでて、その時に佳子さん、すごい錯乱して、走り回ったそうだよ。」
「…容疑者のアリバイはどうなってる?」
「えっと、被害者の妻の佳子さんは年は49、編み物をしてたらしいよ。証人はいないって。
次が弟の鹿深さん、年は50、17時半ぐらいに帰って来たんだって。被害者と鹿深さんは共同で会社を経営してて、13時から17年半前まで隣の自分の会社が入ってるビルにいたんだって。この間はビルから一歩も出てないらしいよ。屋敷に来てからもずっと食堂にいたらしいから犯行は無理だと思う。跡、今右腕が骨折してるらしいよ。
次は林原良三、被害者の息子で、年は24、
真っ当なサラリーマンなんだけど、彼女との結婚を認めてもらえなかったせいでかなり仲が悪かったらしいよ?事件当時は佳子さんの誕生日を祝いに来てて、死亡推定時刻の間は部屋で本を読んでたって。
次は林原舞、被害者の娘で年は26、良三さんと違って被害者との仲は良好だったらしいよ。舞さんも佳子さんの誕生日祝いに来てて、死亡推定時刻の間は部屋で寝てたらしいよ。」「……要するに、鹿深以外アリバイは無い訳だな。」「うん。」「…ちなみに、鹿深がいた社長室は何階だ?」「三階らしいけど。」「じゃあ被害者が死んでいた屋上ってのはだいたい何階ぐらいなんだ?」「高さは三階ぐらいだったよ。」「…そうか。」
そう言うと、栞は現場につくまで黙っていた。何か、考え込んでいるようであった…
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