第54話 東京で用事を済ませる。(帰り支度)

ミナコは柳田公園すぐ近くのマンションの一室を事務所として借りていた。

「大原ルミ」を何とかして売り込んでやろうと意気込んでいた、思い出の

事務所も解約という形でお別れ。

立ち会ってくれた(不定期カレー屋の)御主人に鍵の返却等の手続きと挨拶も

済ませた。

駅近くの靴屋に立ち寄り、ティナのスニーカーを購入。

再び御主人の車で元居たカレー屋に戻ってみると・・・


エリック「皆さん! 急いでここを離れましょう!」


ミナコ「何かあったんですか?」


エリック「池袋駅前で、例のテロ関連か、ナックルボールによる襲撃でパニック状態だそうです!」


ミナコ「えぇっ!?」


エリック「御主人、中身は全て運び出しました。あとは速やかに避難していただければ、我々も安心して次の行動に移れます。」


「ありがとさん・・・」   その直後だった。


       ドオオオーーン!!!


池袋方面から爆発音らしき轟音。    火柱と噴煙のような煙が見えた。


数十秒後、明治通りに爆風波が到達。

砂埃は言うに及ばず、街路樹の葉っぱ、自販機由来の空き缶やペットボトル等が通り沿いにすっ飛んで来た。


エリック「みなさん、乗ってください!!」


御主人への挨拶もそこそこに、一行の車は慌しくこの場を後にした。


ミナコ「エリックさん、これからどこへ・・・?」


エリック「北赤羽方面に向かいます。」


ミナコ「・・・??」


エリック「そこのタブレット、起動させてみてください。」


ダッシュボードに置かれていたタブレットを起動させてみるミナコ。


エリック「で、〝NEW!〟をクリックしていただければ・・・」



【 国土交通省関東地方整備局 荒川下流河川事務所 浮間地区 】


ミナコ「ここって、何かありましたっけ?」


エリック「防災用ヘリポートがあります。」



一行は、北本通りを北上して目的地へ向かうつもりでいた。

ところが・・・


エリック「ああ、だめか・・・ 」


ナビの表示には、《 明治通り 規制線により通行止め 》

        《 環七通り 渋滞中 》  と、あった。


ミナコ「要は北赤羽方面へ行ければいいんですよね?」


エリック「どこか抜け道をご存知なんですか?」


ミナコ「抜け道というか・・・ 線路沿いの道なんですけどね。」


エリック「案内、お願いします!」


一行の車は王子駅の橋の下をくぐらず、王子本町と名主の滝公園のある細い道を

グリグリと進んだ。


途中、東十条駅を通過。 右手に見えるプラットホームに停車中の電車。

一見すると、日常の・・・ 至極当たり前の風景に見える。

線路沿いの道と東十条駅との間には4本の路線があるが、運行している電車は無く、新幹線の高架も同様だった。


ステラ「エリック… さっき、ヘリポートというワードが聞こえたんだけど?」


エリック「ああ、ごめん。まだちゃんと説明してなかったね。」


ステラ「上層部の方から何か指令でもあったの?」


エリック「そうなんだ。 君と隊員2名を即時帰国させるように、とね。」


 

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