第53話 〝アップデート〟の意味
DRAUG直属のTEAM、MOTOI・CREWの本拠地となったFLAT-TRACK-CAFEに
カピタンの仲間が帰還した。
ペーニャ「今、戻ったぜぇ。」
カピタン「お疲れ。 みんなの具合、どうだった?」
ペーニャ「元気そうだった。 でも、復帰は全く未定なんだとよ。」
コスタ「何人かは、リタイアしたいと言ってましたね。」
カピタン「そうか・・・ まあ、無理に引き留める訳にもいかんしな。」
コスタ「死者が出なかっただけでも良しとしなければ、なんですけど・・・
活動できるのが我々3人だけというのは、やはり痛手ですよ。」
ペーニャ「あれ? あの、背の高い部長・・・ いねえな。」
カピタン「I・Jは、いったん本部に戻るそうだ。 で、俺たち向きの戦力を
吟味してくれるらしい。」
カフェの入り口が、客が入ってきたようにカランコロンと音を立てた。
ケン「あ、戻られたんですね。 お疲れ様です」
ペーニャ「おう、いねえと思ったら、レトロ戦車の所だったか。」
ケン「・・・マークンと言います。覚えてやってください。」
コスタ「何か変化は?」
ケン「いえ、何も。 相変わらず、何の兆しも無いですね。」
カピタン「I・Jから聞いたんだが・・・ その戦車のA Iがメッセージを残した
ところによると、《・・・砲台が欠陥・・・》だそうじゃないか。俺に言わせれば、
いったいどこが欠陥なんだ?って話になる。」
ペーニャ「確かにそうだぁ。あのトリッキーな攻撃を全て防いだんだからなぁ。」
ケンは、PCに本部へ報告された履歴が残っているかどうか検索してみた。
ケン「・・・・・・とにかく、実際に読んでみてください。」
画面上に映っている、犬小屋型PCに表示された日本語の原文。
ケン「えぇと・・・英語かスペイン語、どちらで翻訳しましょうか?」
ペーニャ「そうだなぁ・・・ スパニッシュで頼むぜぇ。」
ケン「分かりました。」 《全文》と《スペイン語》のエリアをクリック。
PCの画面の片隅で、円形のマークが数秒間ほど回った後・・・
(スペイン語に翻訳)
・私ことMARK'Nは、今回の模擬戦で露呈された致命的欠陥を改善するため、装備と内装一部のリフォームが必要と判断、決定に至りました・
・両脇にある二つの砲台ですが、砲門が一つずつで可動式・
・そもそも、その構造自体が欠陥でした・
・これでは照準を合わせる際、タイムラグが生じてしまいます・
・砲台を動かす余計なエネルギーと、お二人にかかる余計なストレス・
・降りかかる複数(多数)の飛翔体に対し、こちらで補足してもこの構造では対処
しきれないという危険性が充分に考えられます・
・つきましては二週間程のお暇をいただき、その間にアップデートを完了させたいと
考えております・
ペーニャ「これ、誰かのメールじゃなくて、あの戦車のA Iが・・・なんだよな?」
ケン「そうです。」
コスタ「カピタン、シャンゴが何か反応している様子は無かったんですか?」
カピタン「無かった。シャンゴから情報を得られると思ったんだがな・・・」
変化したという様子が未だ見られない・・・と、思われているマークンだが、唯一
一ヶ所だけ実に分かりやすい変化したという箇所があった。
それは、ハッチのような出入口に浮かび上がっていた漢字三文字。 それは・・・
〝改装中〟
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