第45話 『そいつは助っ人だ!』

『ホバー走行の活動限界まで、あと5分』

カピタン「見えてきた・・・ アイツか!」

シャンゴのコックピット内の映像に映し出された、

平原の道路を進行し、向かってくる異様な姿のコンボイ級トレーラー。


その時、真っ赤な煙の尾をたなびかせた花火が二つ同時、空へ上がった。

「監査官ネーちゃんの信号弾だ!!」

「・・・早急に撤退・・・!!」

「隊長! 副隊長!  あれを・・・見てください!!」

「!!!」

「・・・そういう事か!」


隊長を中心にしたメンバーのいる方向に、ゆっくりと向かってくる異様な

トレーラーの、その反対方向からやってくる・・・これまた異様な姿をした

黒い人型のロボットらしき物体。

おまけにライフルのような物まで持っている。

右に異様なトレーラー。  左に黒い人型のロボット。

形の上では、挟み撃ちされる位置に隊長を含むメンバーがいた。


「うわわわ・・・ なんだ、ありゃあ!?」

「・・・ドでかいライフルみたいなの持ってやがる!」

「もしかして、あたしたち終わり・・・ってことですか!?」

「いや、そうと決まった訳じゃ・・・」

「あのライフルみたいので機銃掃射されたら、どーするんですか!?

弾丸(タマ)だって底をついてるんだし、反撃自体無理でしょっ!?」

「よしんば、タマがある程度残っていたとしてもだ・・・あの手のモンスター

に俺たち程度の攻撃は通用するはずが無い、と相場は決まっている。」

「そうか、だから監査官ネーさんの信号弾って訳だ!」

「ちっきしょー!!誰か、タマ残ってねえか!?」


「ダメだ!! とにかく、この場はズラかるしかない!!」

「ウィル、何をしてる!? 早く乗れ!!」

「いや、監査官ネーさんからメールが・・・」

「そんなの後にしろっ!!」


舗装されていない原野へと、散り散りになって避難しているハンドガン・

マニアックスの全隊員。


カピタンの駆るシャンゴは、ライフルのような長い銃を構え、腰を降ろす体勢を

取った。  いわゆる、シッティングポジションである。


そして、「ポォン!!」と、コルクの栓が抜かれた様を連想させる音が響く。


同じように、未舗装の原野へ避難の最中だった監査官も、その音を聞いた。        

それは、シャンゴの(エア)ライフルから発生した音だった。


・FIRE-BEANSの色が、黄色からオレンジ色に変わりました・

コックピット内の文字メッセージをカピタンが確認した、その直後・・・


         閃光と大爆発。


避難している隊員たちに砂嵐のような爆風が襲いかかったが、すでに適切な

距離まで避難していたため、大事には至らなかった。


カピタンの目の前に映る、黒煙を上げて燃え盛るコンボイ級のトレーラー。

黒煙と炎で多少見え辛くなっているが、フロントグリルには大きく貫通した穴が

開いて、小爆発の炎が間欠泉のように吹いていた。


カピタン「・・・おっと、連絡しないと。」

インストールされている“D”マークのアプリに触れ、ケンのスマホに耳を当てる

カピタン。


ケンと、I・Jが待機しているCAFEに設置されているPCから着信音。

一応、from,Kenと画面には表示されている。

カピタン『えーと、片は付いた。あと、FIRE-BEANSの回収なんだが、それは俺に任せてくれるか?』

I・J「ご苦労だった。そうしてくれると助かる。」


一発で仕留められたコンボイ級のトレーラーと、右手を顔(?)の脇に当てて奇妙な行動をしているように見える、黒い人型のロボット。

それらを呆然と見ている監査官に、メールではない、通常電話の着信があった。

「・・・ハンドガン・マニアックス担当監査官、サンドラ・ネイサンズです。」

『TEAM運営総括のアイアランドだ。先ほど、ミッション完了の報告を受けた。』

「あ、この度はすごい助っ人を呼んでいただき、ありがとうございます。」

『いや、私も驚いたよ。すぐ近辺のチームに救援要請したつもりだったんだが・・

まさか、あのDRAUGが答えてくれるとは思わなかったからね。』

「そうだったんですか・・・」

『あと・・・彼らによると・・・大変に危険な後始末作業があるから、見物なんぞしてないで早急に隊員を帰還させてほしい、との事だ。』

「了解しました。」


ハンドガン・マニアックス全隊員の撤収と入れ替わるように、カピタンのシャンゴ

がFIRE-BEANSの回収作業に入ろうとしていた。


未舗装の原野を撤退中の、隊長たち一行。

「いや~、ヤバかったな。」

「ところでウィル、メールとか言ってたが・・・何だ?」

「ああ、皆さんのところにも届いてるはずですよ。」

それぞれ、中身を確認する隊員たち。

「監査官ネーさんからだったか。」


            『そいつは助っ人だ!』







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