第43話 緊急臨時ミッション (1)
CAFEで朝食中のケン、I・J、カピタンの3人。
そこへ、聞き慣れない警報のような音がPCから発せられた。
ケン、カピタン「!?」
すぐに応対に出る、I・J 。 PCに記載された文を確認すると・・・
{ ナックルボール乗っ取られたと思われる一台の大型トレーラーが、そちらに
向かっています。 現在、進行が予想されるルートに到着しているのは『ハンド
ガン・マニアックス』という、最下層クラスのチームのみです。人数だけは100名と多いのですが、何せ武装が貧弱すぎます。生憎、他のチームは殆どが出払って
しまい、緊急で動けるチームを何とか都合をつけて、そちらから派遣していただき
たく御連絡させていただきました。本当に緊急を要します。何卒、よろしくお願い
いたします。 新国連TEAM運営総括部 ティモシー・アイアランド }
I・J「何をやっているんだ・・・」
ケン「部長、自分が行きます!車の手配をお願いします!」
I・J「分かった、ちょっと待て。 あたって見る。」
{ 地図情報を含むその他の情報は、こちらからインストールしてください }
この文面とQRコードの表示。
ケンはスマホをかざし、インストールを完了させた。
I・J「・・・・ダメなのか? どうしてもか? ・・・分かった。」
ケン「何かあったんですか?」
I・J「今そこにいる、ウェルチ・カーゴ(輸送機の名前)内の車両とヘリは、全て 出払っているそうだ・・・」
ケン「せっかく、ボウガンとFIRE-BEANSの出番が来た、と思ったんですが・・」
I・J「ああ、俺もそう思っていた。」
ケンの発した、ある単語に反応したのは・・・
カピタン「ちょっと待った!今、FIRE-BEANSというワードが聞こえたんだが?」
ケンとI・Jはお互い顔を見合わせた。
I・J「・・・そう言えば、あんたがいたんだったな。」
カピタン「FIRE-BEANSの事なら、俺に任せてもらおうか。」
ケン「・・・そうだ、部長、現物を見せてあげてもいいですか?」
I・J「そうしてくれ。」
部屋の奥から、1m程ありそうな長めのケース。
そして、大事そうに持ってきたジュラルミンケース。
ケン「これなんですが・・・見てくれますか?」
ジュラルミンケースの中身は、スポンジの仕切りが隙間なく入った中に、カップ麺ほどの大きさの正方形で透明な入れ物が収められていた。
カピタン「・・・黄色か。 これ、どうやって入手したんだ?」
I・J「壊滅した麻薬組織から押収した物だ。」
カピタン「・・・・・」 写真を撮ろうとしているのか、スマホをかざしている。
おそらくボウガンが収められていると思われる、長いケースを開けてみたケン。
中は、ぎっちりと部品が詰め込まれていた。
組み立て式で、かなり細分化された部品構成。
とりあえず、メインフレームを仮繋ぎしてみると、約3mほどの長さになった。
カピタン「しまっといてくれ。それを使わなくても、何とかなりそうだ。」
ケン「本当ですか!?」
カピタン「ああ。あと、地図情報入ったスマホ貸してくれるか? 俺のヤツ、インストールし損なったんでな。」
ケン「分かりました、使ってください。」代わりにカピタンのスマホを受け取る。
そして、慎重にジュラルミンケースを閉じ、その取っ手を慎重に握るカピタン。
I・J「ミッションに関する手続きは全て俺がやっておく。そこは安心してくれ。」
カピタン「ありがたい。 ・・・おっと、言い忘れるところだった。」
I・J「まだ何か?」
カピタン「先に到着しているチームと、その監査官にも事前に連絡しておいてくれ
るか? 俺が来てパニクられても困るんでな。」
I・J「了解した。」
カピタン「じゃ、ちょっとばかし野暮用こなしてくる。」
カピタンの、どこか近所へ出掛けるような出撃を見送ったケン。
I・Jは、早速どこかに電話を掛け始める。
折り重なっている、真っ黒いプレートのような物体を何度か掻き分けると・・・
そこにはハッチがあった。 カピタンが手を翳す。
すると、斜めになっていた長方形のハッチはサークル状の枠を境にゆっくり回転、
地面に対し垂直になる位置で止まった。
カピタン「SHANGO!」
その声に反応したかのように、ミルフィーユ状に重なったとびらが次々と開く。
通路が現れると、カピタンは先にジュラルミンケースを運び入れ、自分は後から
乗り込んでいった。
ハッチの位置はシャンゴのちょうど腰の辺り。
掻き分けられていた数々の黒いプレートのような物体は、そこを覆い隠すように
再び元の位置に戻った。
大袈裟な起動音を立てる訳でもなく、スッと立ち上がるシャンゴ。
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