第41話 日本で何が起きていたか? (3)

最後に、{ DRAUGによる見解 }という文章が添えられていた。


“  この報道番組は、行方不明になった少年にスポットを当て、現在も捜索は続けられている・・・と、伝えてはいた。   「あの事故と状況で、死んでしまうのはともかく、人間だけが骨も残さず焼失してしまうのはとても考えにくい。  確かに帰宅はしていたという証拠を残しているにも関わらず、忽然と姿を消してしまった

・・・ この事件は不可解な謎も残してしまっている。」

とは、この番組のコメンテーターの言い分だが、肝心の「三本の木ではない何か」と、事故後発見された「三か所の深い縦穴」には何故か触れずじまいだった。

結論から言えば、「三本の木ではない何か」はスタイラスが擬態した可能性。

そして、「三か所の深い縦穴」はその痕跡。

監視衛星も、三機のスタイラスが日本から飛び立ち、太平洋上でその姿を消した

までの映像が報告として送られて来ている。

「少年の謎の失踪」がスタイラスによる拉致(確保) であるならば、一応の辻褄は合う。 だが、これもあくまで憶測でしかない。

          ・再調査を要する・


I・J「さて、次は・・・WO-PARTSが早速ニックネームを付けた、コイツだ。」


         ・RAZORBILL・


映像の項目に静止画と動画。 行動順と称し、番号が振ってあった。


1、(突如出現)浅瀬で動きが停止した状態のレイザービル。(静止画)


2、大雨。そして、顔(?)の尖った部分の先端に落雷した瞬間。(静止画)


3、雨が止み晴れ間がのぞくと、突如動き出し、上陸を開始。(動画)


カピタン「ここまでは見た。 で・・・ この後、何かしたんだろう?」

I・J「意外な行動に出たようだ。 まあ、見てみよう。」


4、一時、自衛隊に進行を阻まれる。 その時、ハンマーのような腕(?)

 を出し、横に2回、静かに振るという行動を見せる。 (動画)


5、TVメディアは、これをメッセージと判断。 その解読結果を自衛隊に

 報告。 それを受け、自衛隊は進路を開ける行動に出る。 (静止画)


6、ハンマーのような腕の手の部分から発していた、光のドットからなる

 メッセージ。 日本語のカタカナで、一、二行共に13文字の計26文字。

 その解読結果。 そして、その英訳。 (静止画)

       

       『そのトレーラーに用がある』

       『用事が済めば海へ戻る』


カピタン「・・・・・・・」

ケン「・・・・・・」

I・J「その“用事”ってやつも収録してある。」


7、駐車場に、放置駐車と見られるトレーラーのコンテナ。

 その前に立ち、さながらアーク溶接の要領で切断を始めるレイザービル。

 そのコンテナの中から転げ落ちるように出てくる丸い岩のような物体。

 (動画)


ケン「うわっ!・・・これって・・・?」

I・J「そう、ナックルボールだ。」

カピタン「・・・こんなデカいの、初めて見たぞ。」

I・J「次とその次が大事なところだ。 よーく見とけよ。」



8、ハンマーのような部分を手のように変形させ、ナックルボールをコマのように

回すレイザービル。      しばらく回転させた後・・・

先ほどのハンマーのような手で、今度はブレーキを掛け始める。

 そして、回転を停止させた直後、もう片方の手で鋭利な針のような物を突き刺していくレイザービル。 (動画)


ケン「・・・・・・・」

カピタン「・・・・・」


9、崩壊時に発生する有毒ガスを抑えるため、一斉に放水を行う自衛隊。

 ( レイザービルと空との間に虹 )

 大変に懸念された、崩壊による毒ガス流出は起きなかった。

 そして、計6本刺した状態で終了。

 ナックルボールに崩壊現象は見られず、その後、完全に近い停止状態に。

 この後、レイザービルは地面に何か書くような行動を見せる。(動画)


カピタン「コイツ・・・ 誰か乗っているな? 俺みたいに。」

I・J「その可能性は高いだろう。どこの誰かは別にしてだが。」


10、レイザービルが地面に書いた文字(タイトル)

  駐車場のアスファルト上に書かれた、日本語のカタカナ。

  そのアスファルトの削りカスのせいで全部の文字が見えづらくなっている。

  (静止画)


DRAUGの見解 (音声無し 文字のみ)

この写真のままだと、セイギ=Justice、オセ=Pushの命令形だが、そうではない。

実際は、一行9文字のカタカナで、計18文字の日本語。 


         セイギョ カンリョウ

         オセンスイニ コウカ


日本人スタッフに翻訳してもらったところ、こう言った意味に受け取れるという。


   (針を刺した処置により)制御(は)完了(した)     

   (放射能)汚染水に効果(がある)


今後、調査を強化すべき点は「崩壊現象が起きない針の刺し方」。

現在、この件に関するデータは皆無に等しい。

より一層の強化、および保全と管理の徹底化が望まれる。



I・J「ケン・・・・  その驚いた様子だと、母国のニュースをろくにチェックしていなかった感じに見て取れるんだが・・・どうなんだ?」

ケン「おっしゃる通りです。TEAM立ち上げとかで、もう頭がいっぱいだったのかも知れません。 以後、注意いたします。」

I・J「情報は日々更新されてはいるが、こうやってまとめた映像は、とりあえずここ

までだ。 今日はこれくらいにしておこう。」

カピタン「助かる。今日は頭の中が腹いっぱいだ。」(笑)


夜が更けて、3人は各々が寝る場所を協議した。

結局のところ・・・ 緊急時、即座に行動に移せる配置を最優先にして決定。

カピタンは、シャンゴのコックピット内。

I・Jは、玄関先の情景がひと目で確認できるよう、店内のソファーベッドで。

必然的に、ケンは奥のベッドルームで・・・だった。


離れた場所に着陸している輸送機から、一定の時間を置いてCAFEまで見回りに来る

パトロールカー。

I・Jは間接照明が気に入らなかったようで、CAFE内は真っ暗になった。

ケン「・・・眠れるかな・・・」

寝ようとしたベッドは、かすかに香水の残り香があった。 






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