第40話 日本で何が起きていたか? (2)

出されたリゾットを黙々と口に運ぶ、I・Jとカピタン。

しばらく会話が無かったが・・・

カピタン「ここの所、日本がずいぶんとザワついているらしいんだが、DRAUGでは

どの程度関連の情報が入っているんだ?」

キッチンで皿洗いをしていたケンがピクッと反応した。

I・J「チバという場所の奥地で起きた、ミサイル墜落事故の件は3機のスタイラスが

どうやら絡んでいるらしい、という所までは掴んでいる。」

カピタン「まだあるだろう? その半島の突端に出現したカラスの怪物の事が。」

I・J「あれの調査は始まったばかりだ。  現在、直属のTEAMが北太平洋第七艦隊に加わっている。 市街や基地に襲い掛かる事はしないようなんだが・・・    とにかく、行動の意図が読めない謎めいたヤツらしい。」

ケン「詳しく教えてください!」

I・J「まあ待て。 その手の情報はちゃんと保存してあるから、今見せてやる。」


PCを介し、(新しく運び込まれた)大型テレビに映し出される映像。

比較的、多くの時間を割いて報道された日本の{ニュース特集}を、ほぼそのまま

引用。 画面下に英語の字幕スーパーが加えられていた。


{ その時、J・アラートは発動しませんでした。    日本の某航空TEAMが、対スタイラス用に放ったミサイルは、突然コースを変えてきたのです。

千葉県 百里郡 生業町。 一軒の民家が、跡形も無く吹き飛ばされました。 }

所々、まだ燻っている瓦礫の付近を現場検証している警察。

おそらく、生徒手帳の写真から引用したと見られる、一人の少年の写真映像。

{ 県立生業高校三年、テッポウヅカ・シュウタさん。  遺留品は数々見つかっています。 真っ二つに折れた、折りたたみ式の携帯電話。   もはや原型を留めていない電動車椅子。学生鞄。  そして、ボロボロの状態で発見された、血まみれのワイシャツ。  これだけでも、帰宅していたのはほぼ間違い無さそうですが、

それを裏付ける証拠となりそうな、ある出来事が事故の直前にあったのです。 }

“ 鉄砲塚 秀太さん ”と、表記されている映像。


目を見開き、呆然とその名を見ているケン。


{ 事故現場に一番近い警察署へ、一通のメールが届いていました。 }

家電話付属器『 メールが打てるFAX 』の新品写真映像と、現場で発見された

同じ物の比較映像。 焼け焦げて歪んだフレームが辛うじて残っている。


{  生業町 い・ろ・は区域の「は」で もと畑だった所に

  木ではない何かが いつのまにか立っています

  朝にはありませんでした 調べてください }


{ 千葉県警によると、この身体障害者向けの電話型ツールは、“町民の声”という

地元警察との、言わばホットラインの役割を果たす回線が設けられており、この

機器からの発信されたという事は、同時に登録先と時刻も表記されるので、これは

鉄砲塚秀太さんが近くの警察署に宛てて打ったメールに間違いありません。

・・・と、話しています。 }


ケン「・・・・・・」

I・J「・・・・・・」

カピタン「・・・・・・」


誰も喋らないので、女性ナレーターのソフトな語り口が部屋中静かに響き渡る。

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